内容説明
感染症対策の世界的な司令塔であるWHO(世界保健機関)は、2019年12月31日の「第一報」から現在に至るまで、新型コロナウイルスに対して的確な対応をとってきたのだろうか?
WHOが「人から人」への感染を認めて国際緊急事態を宣言したのは2020年1月30日。
なぜこんなに時間がかかったのか?
ジュネーブ駐在時にWHO取材を担当し、その内情に通じる著者が「初動」について詳細に検討し、感染拡大の節目における判断の経緯、国際的なワクチン供給体制をどうやって確立したのかなど、WHOの施策を緻密に検証。
また、私たちの命と健康に密接に関係する国際保健体制の現状についても解説する。
目次
はじめに
第一章 2019年12月31日に何が起きたか
第二章 国際緊急事態(PHEIC)の影響
第三章 パンデミックの波紋
第四章 コロナ禍の世界保健総会
第五章 ワクチンをめぐる攻防
第六章 早期警戒網とオープン化
第七章 WHOとジュネーブ
第八章 テドロス体制の課題
終章 コロナ危機と国際社会
あとがき
主な参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
15
2021年11月刊行。筆者は科学記者。かつてジュネーブ特派員としてWHOをカバーした経験がある。WHOや中国当局の対応について、先入観で決めつけるのではなく、事実を積み重ねていく。このアプローチは貴重だ。2019年12月から2020年1月にかけての極めて肝要な時期に、中国の対応に遅かった点はあった。WHO関連のアルファベットの専門用語の解説には、専門記者ならではの蓄積が感じられる。コロナに焦点を合わせていて、WHOはどんな人々がどんな活動しているのかという、いわば平時のWHOの記述は薄い。2021/12/16
スプリント
10
WHO内で自浄作用がきかないところが悲劇。 パンデミック事案に対応する新しい国際組織が必要なのかもしれない。2022/01/30
田中峰和
3
庶民はWHOなどに何の期待もしていない。トランプがテドロスと中国の癒着を攻撃し、WHOからの脱退を宣言しても、ニュースになったところでそれほど気にもしていない。テドロスはアフリカ発のWHO事務局長だが、日本人から韓国人、中国人の順番で選任されたことを考えると、国連らしい決め事と納得できる。そんなテドロスもウィルス起源を調査するため中国に調査団を派遣しようとして拒否され、さすがに失望したと発言。感染の拡大以降、中国に振り回されるWHOの存在意義のなさばかりが目立っただけだ。2022/05/01
philosophia1976
0
COVID-19パンデミックとWHOの対応について検証した本。著者は読売新聞前ジュネーブ支局長。原因不明の肺炎が中国・武漢で発生したという一報が最初に発信された2019年12月31日から時系列にこだわり、特派員の経験と知識をおりまぜながら検証。公衆衛生上の緊急事態となる兆候を評価後24時間以内にWHOに通報するIHRの義務を中国は遂行したのか? PHEIC表明はなぜ時間がかかったのか? テドロス事務局長はなぜ「中国寄り」なのか? ジュネーブの噂レベルだがテドロスは「思いつきで行動する」は、何か納得できた。2023/03/30
お抹茶
0
コロナパンデミックの最初の記事を辿っていくが,特に中国ソースは今から検索しても見当たらないものも多く,情報の削除や塗り替えも進む。WHOに観戦情報の提供を強制する権限はないが,2020年1月半ばに中国の情報公開が止まった間に行動が取れず,感染拡大を招いた側面がある。今回のパンデミックには国際保健規則上の規定がなく,風評被害や二次的な混乱が生じる恐れもあり,WHOはパンデミック宣言に慎重だった。日本ではジュネーブ発の国際機関の動向はなかなかニュースになりにくいという,記者ならではのコメントもあった。2022/01/07
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