グッド・アンセスター

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グッド・アンセスター

  • ISBN:9784751530702

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内容説明

私たちは、どうしたら「よき祖先」になれるのか!
私たちは皆いずれは、未来に生まれてくる人たちにとっての祖先となります。その時、未来の人たちに私たちが「よき祖先」と思ってもらえるかどうか。負の遺産を残した「悪い祖先」にならないようにするには、今、どんな行動をすればよいのかを論じた内容です。

著者はイギリスの文化思想家。「よき祖先」になるための考え方、方法、過去から現在までの活動例を紹介します。また、その問題を様々な視点から分析し、私たちに行動を起こすよう提案しています。

考え方は、長期思考を重視するということです。
日本での政治施策の例
1550年~1750年にかけて日本の森林は荒廃し、生態系も社会も崩壊する寸前でした。
国の支配者は、森を切り開いて何千もの城や神社、邸宅を建てたのです。森林が大量に伐採されたため洪水に襲われ、その結果1600年以降は大飢饉が相次ました。
これに対して、徳川家は、1760年から100年間、世界初の大規模な林業計画に着手したんです。役人は村人に報酬を払い年間10万本の苗木を植えさせました。

この結果、1度は文明衰退の道をたどった日本が19世紀後半には再び緑の国に戻ることができました。これは私たちが環境危機に対処するためにどう長期計画をたてればよいかという希望のモデルだと言えます。

出版関連の事例では、オーストリアの「人類の記憶」という企画。人類の最も重要な著書1000冊をセラミック製のタブレットに保存し100万年保存するというもの。
また、スコットランドのケイティ・パターソンは、「未来の図書館」というプロジェクトを進めています。これは、2014年から100年にわたり毎年著名な作家が新作を寄贈し、100年後印刷され、22世紀の読者に提供するというものです。

現代の人々は、基本的に目先のことに追われて、短期思考になっているので、長期思考を意識することが未来の人々のためになると語っています。
現在、「SDGs」が叫ばれていますが、正にこの本は「持続可能な開発目標」を具現化させるための方法をわかりやすく記述した書でもあります。

目次

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

よしたけ

56
よき祖先になるには今どう行動すればいいのか?鍵となるのが長期思考。企業決算(4半期毎開示)、政治(選挙しか見ない政治家)、消費行動(BuyNowボタン)など歴史稀に見る短期思考風潮。環境破壊を止めようと思っても当事者意識が薄い。だがこう考えたら? 過去5万年人口1千億人→現人口77億人→今後5万年人口先6兆7500億人=現人口の877倍 。それでも今がよければ全てよし?さまざまな示唆あるが、株式長期保有で配当減税、都市単位政治、未来住民思考(未来人なら現行動をどう思う?)など。価値観を考えさせられた一冊。2022/04/16

翔亀

43
【人新世15】たまには新しい本を、と久しぶりに人類の将来を見据える本。ダイヤモンドや斎藤幸平と同様に、成長ではなく地球温暖化や生態系の危機を重視する啓蒙書。書名は、今の私たちが、未来の人類にとって良き祖先になることが出来るようにという意味。未来とは最低でも100年のスパンをいう。そのスパンでの「短期的思考」から「長期的思考」へというメッセージで貫かれている。資本主義とか新自由主義とか民主主義とか社会主義とか環境主義とかといった、ときに政治抗争となる対立を超え、より幅広い立場で共感できるメッセージだろう。↓2021/12/07

りらこ

22
副題の通りわたしたちはよき祖先になれるかと問い、このままではなれないということに多方面から気づかせてくれる。良書だと思う。どのページにも頷ける言葉が書いてあり、データや表が見やすい。この本が書かれた後に新型コロナのパンデミックが始まっていて、それらを予測したかのようなページも。私たちが生きているのは古代から続く贈り物を受け取り続けているし、それを使い果たし短期思考で目先のことのみこなしていると子孫にとってよき祖先とは言えないだろう。そのためにどうしたら良いのか、この本はきっかけでしかない。時々開いて読もう2022/09/01

KUMAPON

10
「今、列車に爆弾を仕掛けて子どもを傷つけてはいけないのであれば、爆発のタイミングが10分後、10日後、10年後であったとしても、同じように許されるものではない」「50年後も、100年後も、500年後も、地球上には人間が住み、働き、愛し、夢を見ていることだろう。そして、彼らが送る人生は、私たちが今日どのように行動するかによって大きく影響される」「まだ行動するチャンスがあったときに、私たちがしたこと、しなかったことは何だっただろうか」漠然とした危機感を具体的な行動に変えていけるよう、折に触れて読み返したい。2022/09/10

南チョ

6
未来の世代から見て、今を生きる我々はよい祖先であるといえるだろうかという問題提起の書。「未来は植民地化されている」というメッセージは痛切。人間は短期思考に陥りがちだが、不完全ながら長期思考の能力もあるため、この能力を未来に向けて働かせてみることが提唱される(大意)。我々は未来によりよい地球を引き継ぐ責務を負っていると痛感した。この猛暑の夏に読んだのも何かの巡り合わせだと感じた。私にできることをやっていきたい。2024/08/01

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