セルオートマトンによる知能シミュレーション ―天然知能を実装する―

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セルオートマトンによる知能シミュレーション ―天然知能を実装する―

  • ISBN:9784274227820

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内容説明

あの「天然知能」を情報科学として明快に解説!
本書は、セルオートマトンによる知能のシミュレーションについて、基本的な考え方から学ぶものです。
オートマトンの基礎から解説を始め、セルオートマトンに見られる典型的な現象(相転移、カオスの縁)、セルオートマトンと人工知能との対応、非同期調整セルオートマトンと著者らの提唱する「天然知能」との対応、リザバーコンピューティングによる実装の手法までを、順を追って解説します。
「天然知能」は、人工知能(RNN)のように初期情報と因果関係(規則)のみに従って結論を出すものではなく、推論過程で外部の情報に触れることにより結論が変わり得る仕組みであり、現実の思考過程・創造に向かう意識の変化にふさわしい概念として提唱されたものです。

目次

第0章 本書の構成

第1章 はじめに:オートマトンから生命的計算へ
1.1 計算機としてのオートマトン
1.2 セルオートマトンによる世界の模倣
1.3 カオスの縁は本当なのか
1.4 天然知能的理解・天然知能的オートマトンへ

第2章 非同期ライフゲームによる確率的論理ゲート
2.1 ウォーミングアップ:本書におけるオートマトンの使用法
2.2 ライフゲームの規則とグライダー
2.3 非同期ライフゲームと相転移
2.4 非同期ライフゲームにおける計算の可能性
2.5 ゆらぎを利用する確率的論理回路

第3章 1次元セルオートマトン
3.1 初等セルオートマトン(ECA)
3.2 ECAの時空間パターン
3.3 1次元セルオートマトンの四つのクラス

第4章 ランダムさ・複雑性・べき乗則
4.1 ビット列のランダムさとエントロピー
4.2 1次元セルオートマトンのランダムさと複雑さ
4.3 べき乗則

第5章 カオスの縁
5.1 1次元セルオートマトンと「カオスの縁」
5.2 浸透セルオートマトンと相転移

第6章 セルオートマトンの天然知能化
6.1 同型性の発見・解体・転回
6.2 受動・能動の一致を実現する人工知能的描像
6.3 受動/能動のトラウマ構造―1:順序型・非同期時間
6.4 受動/能動のトラウマ構造―2:休止型・非同期時間
6.5 非同期調整オートマトン:脱色されたトラウマ

第7章 非同期調整オートマトンの実装
7.1 1次元セルオートマトンにおける同期と非同期
7.2 非同期調整オートマトンの実装
7.3 非同期調整オートマトンの時空間パターン

第8章 非同期調整オートマトンの臨界性
8.1 カオスの縁を超えて普遍的臨界性へ
8.2 パワースペクトルと1/fゆらぎ

第9章 計算万能性と計算効率のトレードオフ
9.1 万能性と効率は比較可能か
9.2 同期計算における万能性と効率のトレードオフ
9.3 非同期計算における万能性と効率のトレードオフ
9.4 非同期時間が内包する同期時間ルールの多様性
9.5 非同期調整が破るECAのトレードオフ

第10章 リザバー計算への実装
10.1 ニューラルネットとリザバー計算
10.2 ECAを用いたリザバー計算
10.3 非同期調整オートマトンを用いた天然知能的学習システム

第11章 おわりに

参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

odmy

1
ぺギオ氏の生命哲学関連の議論は難しすぎて、他書で読んでも「感覚的にはなんとなくわかる」という以上に理解を進めることができなかった。しかし本書は氏のお弟子さんの浦上氏との共著で、少なくとも浦上担当章はきちんと人間にわかるように書かれていて、「天然知能って本当に存在したんだ…」みたいな驚きがある。西川アサキの『魂と体、脳』も心身問題という哲学上の議論を数理シミュレーションに落とし込むという似たようなコンセプトの本だったけれど、それをさらにわかりやすくした感じ。ただし、ぺギオ担当章はやっぱり難解。2023/04/19

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