内容説明
小さな生き物への愛情と尊敬に満ちた奇跡の実話
第二次大戦中の英国でひ弱な雀が寡婦に拾われた。雀は愛情を込めて育てられ、驚くべき才能を開花させる。世界的ベストセラーの名作。
酒井駒子さんのイラスト、小川洋子さんの解説も完全収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
137
スズメが好きだ。読メに記録したスズメの本が、何の作為もなく3冊目だから、心底好きなのだろう。世界大戦のさなか、巣から落ちた1羽のひなを、ひとり暮らしのピアニストが生き返らせたところから話は始まる。小説と思っていたが実話であり、立派な生態記録でもある。なんと老衰死までの12年、スズメは戦中戦後を生きのびて、芸や歌まで身につける。何よりスズメに励まされたのは著者のキップス夫人ではなかっただろうか。生涯の克明な記録は、最後にやはり泣かせる。2015/11/21
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
127
第二次世界対戦中のロンドン。まだ目も開かない生まれたばかりの雀の雛。それを拾い育てた著者とクラレンスと名付けられた雀との12年の記録。雀は飼うことはできても人には慣れないと聞いていた。だがどうだろう、著者の弾くピアノに合わせて歌ったり、子供達を楽しませる為に芸をする雀。時には描写が擬人的すぎるのではとも思えたが、本当に著者にとっても可愛い、かけがえのない子供のような存在であったのだろう。翻訳も野鳥の好きな梨木さんというのも良し。★★★★2017/04/13
sin
122
彼の幼い頃への回想や、戦時中の活躍には、作者の想いが強すぎて、たどたどしい賛辞に終始するように感じられたが、その晩年を見守る姿には目頭が潤んで仕方がない。十二年と七週と四日という歳月は自然のスズメに於いては意想外の寿命であろうが自分たち人間にとってとても短い生にすぎない。だがしかし生きるということに果たして長い短いが当てはまるのだろうか?人間はもっとこの生き物たちのようにその生の一瞬一瞬を懸命にそしてただ生きる必要があるのではないだろうか?2017/01/10
rico
121
モノクロの写真、小首をかしげて小さな本に見入る姿の何と愛らしいことか。身近だけど籠の中の姿は似合わない、私にとってのスズメはそんな存在なのですが。著者のキップスさんとの出会い、自然界では生きるのが難しい障害があったこと、キップスさんがピアニストだったこと。そんないくつもの偶然が生んだ、戦時を含む12年余りの奇跡の時間。手のひらにのるほどの小さな命との魂の交流。ただただ愛おしい。それが人間の得手勝手な思い込みであったとしても。翻訳は梨木香歩さん、解説は小川洋子さん。大切にしたい1冊と、また出会えました。2021/07/09
ぶち
120
第二次世界大戦時のイギリスで、著者のキップス夫人は傷ついたスズメの雛を看病し、以来12年もの間一緒に暮らしたスズメの様子をつぶさに記録した貴重な本です。記録にふさわしい淡々とした文章ですが、キップス夫人の愛情がひしひと伝わってきます。これには、梨木香歩さんの翻訳も大きく寄与していると思います。サブタイトルに"人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯"とあります。まさに、スズメと人間という種を超えてお互いを尊重し合った姿には誇り高い気概を感じます。表紙の酒井駒子さんのイラストも素晴らしいです。2020/01/21
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