内容説明
読者の何割かは最後の章まで読破するでしょう。
そのうち一定数の方々は、不愉快な思いをし、お怒りになるかもしれません。
が、一方で、俎上に挙げられたさまざまな事象とその論考に瞠目し、
心の裡で喝采してくださる方々もいるはずです。
──南 博
本書で、私が書いてきた領域は多岐にわたっている。
音楽家の矩(のり)を踰(こ)えていると思う方が大半だろう。
だが、私が書きたかったことは、まさに、そうした実は何の根拠もない「矩」をこしらえた、
何か大きな力に対するリゼントメント(憤激)である。
──森本恭正
ラディカルに、そしてロジカルに権威を切り裂く多能な作曲家と、
言葉のインプロヴィゼイションで読む者を覚醒させる異才ピアニストが
ジャンルを超えて交わした言葉のインタープレイ。
誰も語れなかった〈音楽〉がいまここから聞こえてくる──
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
60
☆4.5。面白く読めた。でも「クラシックとジャズの対話」との副題がついているが、対話になっていない。内容は対談では無く、18のテーマに沿ってそれぞれの立場で書いた、というもの。一応お互いの文章を読んでいるようだが、まるで各人一人将棋をしている風に感じた。全然ではないものの、ほとんど話が絡み合ってこない。森本氏は南氏とは40年来の畏友と書いているが、それにしてもお互い「自分のフィールド」に入りっぱなしの文章。本当に畏友?と疑問詞が沢山並んでしまった。対談にすれば良かった。少なくともすれ違いは無くなる。↓2021/08/29
月華
1
図書館 2021年7月発行。コロナの事にも若干触れられていました。2022/07/22
林克也
1
こういう、生き方考え方に芯(哲学)のある人の出す音は強くて美しい、と思う。 この本で気づかされたことの一つに、作曲家言語環境がその音楽を作る、ということがある。なるほど。だから、ベートーヴェンの同じ曲でも、ついつい聴くのはヨーロッパ人の演奏家の方になってしまい、日本人演奏家の方はめったに聴かない自分がいるんだ。 2021/08/28