風の里から―原発事故７年目の死

著者名：櫻井和代【著】

本の泉社（2021/11発売）

• ISBN：9784780718287

内容説明

｢2021年3月11日、福島第一原発事故から10年目の日、福島の空は穏やかに晴れ渡り、いずれのテレビ局も、10年前の災害特集をセレモニーのごとく流していた。その前日、国連からは、10年前繰り返し流された「ただちに健康に影響はありません」に重なるように、｢フクシマ原発事故と健康被害の因果関係はみられない｣との声明が出された。その陰で、2018年7月14日、福島第一原発より65キロ離れた風下の里に住んでいたひとりの女性が、きっちり7年後に急性骨髄性白血病を発症、4カ月の闘病の後に死亡していた｣「東京で40年間看護師として働き、故郷に戻ってきた彼女は、この地を心ひそかに「風の里」と称し、その日常を日記にしたためた。……この書は、一人の被災当事者の目に映った、「ありのままの記録」である」(「はじめに」より)。
著者は、東日本大震災前夜から2018年まで綴られた日記の叙述をたどりつつ、亡くなった彼女の思いに耳を澄ます。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ゆぅいちゃん]

図書館でみつける。一主婦が淡々と日々を綴った日記をまとめたものなのだが…自然の中に生かされること、大変な農作業の中に感じる充実感、原発事故から何とか立ち上がりたいという気概…そして発病。なかなか世に広く、読まれる機会に恵まれないかもしれないけれど、とても大切なことを教えてくれる本だと思う。そしてこのようなことが、もっとたくさん…語られないまま埋もれているのではと想像する。

2022/10/21