手づくりのアジール

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手づくりのアジール

  • 著者名:青木真兵【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 晶文社(2021/11発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794972828

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内容説明

青木君たち、やっていることは「けっこう極端」なんだけれど、言葉の手ざわりがとてもやさしい。
だから話をずっと聴いていられる。──内田樹

注目の在野研究者・移住者・図書館主宰者による土着人類学宣言! あたらしい人文知はここからはじまる。

市場原理主義や、社会に浸透する高度なテクノロジーによる管理化に飲み込まれず、地に足がついたまっとうな生き方をするためには、社会のなかでの「アジール(避難所)」を自分たちの手で確保することが必要ではないか。
・スピードが最優先される「スマート化」にどう抗うか?
・これからの「はたらく」のかたちとは?
・研究と生活をどう一致させるか?……
奈良の東吉野村で自宅兼・人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を主宰する著者が、志を同じくする若手研究者たちとの対話を通じて、「土着の知性」の可能性を考える考察の記録。あたらしい人文知はここからはじまる。

ぼくらの直感は合っていました。合っていたからと言って世界が劇的には変わるわけではないのだけれど、でももうちょっと、この「土着の知」とも言うべき人間の生き物としての部分を認めないと、ぼくたちは生き残ることができないのではないか。社会を維持することだってできないのではないか。本書は『彼岸の図書館』で言語化でき始めたこの直感を、同年代の研究者と共有し、意見交換した記録です。(「はじめに」より)

【目次】
「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す
対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子
対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵
「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと
対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵
対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵
手づくりのアジール──「自分のために」生きていく
対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵
対話6 ぼくらのVita Activa――マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵
山村デモクラシーII

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

57
アジールという言葉を初めて知った。自分が今、関わりがあるつながり・社会を考えながら、読み進めた。此岸と彼岸という視点と、その間を行き来することの意味。行き来するということは、その間にも継続した場があるということ。何でも二項対立的に白黒つけてしまう流れが強い今という時代は、生きづらさを持っている人が増える一方ではないかと思う。人は多面的だし、グレーの部分がいろいろあっていいと思う。逃げることは、実は、積極的な意思表示でもあるという視点が響く。2022/11/02

takeapple

14
マルクス、網野善彦、宮本常一、ハンナ・アーレントなど今まで読んで来た人の本が出てきて、山に移り住んで考えてきたことを明確な言葉にしてくれている。これはやっぱり東吉野村に行ってみるしかないかな。竹端寛さんとの対談は、学校教育の場にも活かせると思った。2022/10/04

かんがく

13
今年読んだ本の中で『ひび割れた日常』、『歴史なき時代に』と並ぶトップレベルに面白かった本。人文学の役割とか、新自由主義と大学とか、「他者」の存在とか、三冊とも共通しているテーマが多くて多分今の自分が一番興味がある点なんだと思う。本書の著者は研究者をドロップアウトして、奈良県東吉野村で図書館を開いている方。現代社会の画一性、明確性、自由と平等、スマート化、新自由主義、全体主義などへの違和感を言語化したうえで、伝統社会の二つの原理を行ったり来たりする存在、土着、外部、有限性などに着目していて色々と腑に落ちた。2021/11/21

8
再読。最近『「ぼくらの「アメリカ論」』を読んで、「土着」について思うことがあったので読み返し。私設図書館を山村の自宅で開くという、一見無意味で経済を回しているように思えないことこそ、このくそ忙しい現代社会の「自己責任論」はびこる不条理とも言える世の中で、青木夫婦のように自分の中での居場所「アジール」を見つける(もしくはそれを手づくりする)ことが肝要かなと思いました。特に磯野真穂さんとの対談の中で「そんなスーパーカーにならなくていいんじゃない?」という一文が印象的。みんなせっかちというか、生き急いでない?2024/10/27

6
『彼岸の図書館』(2019年)の発展版ともいえる「土着の知」について5人の研究者+海青子さんとの対談集。特に百木漠さんと、藤原辰史さんとの対談が印象的でした。「働くこと」についての考え方、ベーシックインカムによって自己責任論が強くなってしまう世の中に突き進んでしまっているのは恐ろしいなと思いました。個人的にも現代社会は何かと自己責任の論調が強いな…という空気は感じます。2024/02/18

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