内容説明
『創世記』にはない「原罪」が組み立てられた過程を神学・哲学の言説から辿り、その呪縛からの解放と「幸福」な「生」を問い直す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本正行
27
9カ月前に読み終えた図書館本、自分では購入しない、きっと高額だろう。高度な専門書、キリスト教神学あるいは西欧の宗教学、哲学に基本的な理解、高度な関心がないと、初歩的な理解もできない。読み終えたとはいえ、ヨーロッパの歴史に関心がある、好きだという程度の私には、かなり難しい本だっただろうと推測する。はっきり言って、内容を想い出せない。読んだ実感すらない。それでも、なんらかの影響は受けている。2022/01/10
一郎二郎
1
アウグスチヌス系列神学者のでっち上げた原罪の教理。人間は自然と恩寵により作られたが、罪により恩寵から分離されると、罰としての自然と構造的欠陥としての人間本性が残る。地上楽園は空虚な理想、人間の欠陥を示す暗号となる。これは当時の教会組織の利益に合致したものだった。別の理解もあった。例えばダンテにあって罪は初源の自然を傷つけるものではない。地上楽園は政治が目指すべき現世での幸福の暗号である。我々はダンテと共に地上楽園と神の王国とが現在という時間で結びつき得るし、人間本性もその時初めて明らかになると考え得る。 2022/03/06