ちくま新書<br> 「ひきこもり」から考える ──〈聴く〉から始める支援論

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ちくま新書
「ひきこもり」から考える ──〈聴く〉から始める支援論

  • 著者名:石川良子【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 筑摩書房(2021/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074386

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内容説明

「ひきこもり」支援とは〈生〉を支えることです。その根本には〈聴く〉ことが深く結びついています。〈聴く〉こと、それ自体がその人の存在を肯定し、意味づけるからです。一方の〈生〉が他方のそれを圧倒することなく、できるだけ対等につきあっていくには、どうすればよいのでしょうか。自分とは異なる人生を歩み、異なる価値観を培ってきた相手と、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。本書では、「ひきこもり」を通して〈聴く〉ことを考えていきます。

目次

二つの「はじめに」
一つ目の「はじめに」
二つ目の「はじめに」
第一章 「ひきこもり」支援の現在
「ひきこもり」の支援における当事者不在
当事者は支援についてどう考えているのか
「支援(者)臭」のする人
当事者と支援者の間に横たわる溝
自分の声を奪われてきた経験
〈語ること〉と〈聴くこと〉を み合わせる
コラム① 「対話」ブームが、なんだかモヤッとする
第二章 調査者としての経験から得たこと
調査における二つの難問
「ひきこもり」の当事者とは誰のことか
「ひきこもり」をどう定義するか
自分は「ひきこもり」なのか?──揺らぎを掬い上げる
当事者に対する共感と反発
〈動けなさ〉が見えるようになる
〈動けなさ〉を語る難しさ
生きることへの意思・覚悟
〈動けなさ〉を読み解く
第三章 〈聴くこと〉から支援を掘り下げるための五つの論点
【論点1】当事者に対する否定的感情との向き合い方
【論点2】支援における共感・受容の落とし穴
「受け入れる」ではなく「受け止める」
【論点3】〈聴くこと〉はどこから始まるのか
【論点4】「分かる」とはどういうことか──私が目指している「理解」
【論点5】当事者の声を〈聴くこと〉は支援になるのか
第四章 〈語れなさ〉と向き合うⅠ
「ひきこもり」を支援することの正当性
「本音」と「言い訳」を聞き分けることはできるのか
一つ目の〈語れなさ〉──言語化できない
二つ目の〈語れなさ〉──相手の聞きたいことしか語れない
「ひきこもっている本人の意思を尊重しなければならない」?
第五章 〈語れなさ〉と向き合うⅡ
話の通じなさがもたらす不安
支援の現場で生じる排除
三つ目の〈語れなさ〉──話が通じない
四つ目の〈語れなさ〉──言葉を封じ込められる
「分かる」が与える苦痛、「分からない」が与える安堵
ふたたび、〈聴くこと〉は支援になるのか
コラム② ひきこもりは怠け?
第六章 支援論──フラットな関係を目指して
なぜ当事者の声は軽く扱われるのか
「あなたのために」の怖さ
「ひきこもり」の支援は不信に根ざしている?
そもそも「ひきこもり」を支援するとは?
信頼に根差した支援へ
依存先
選択肢を増やすこと
「ダメ人間」でもなく「聖人」でもなく
フラットに付き合う──「同じ」と「違う」が無効化される地平
コラム3 「ひきこもり」の核心
コラム④ 共感ではなく存在認めて
第七章 居場所論──フラットなお付き合いのための一提案
居場所は社会復帰のための通過点ではない
雑多であることの魅力
みんなで居心地のいい空間を作る
場をともに作るパートナーとして付き合う
共通の関心事をつくる
様々な個性を持った場が増えていくこと
場を維持することの大切さと、そのための工夫
世の中は意外にカラフル──「ひきこもり支援」という枠組みから離れてみる
補論 コロナ禍のもとの「巣ごもり生活」と「ひきこもり」は同じか?
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とろ子

8
〈生〉を支える支援で最も重要なのは〈聴くこと〉 きっとそうなのだろう。そして〈聴くこと〉は非常に難しい。相手が話してくれるということは、こちらを信頼してもらわなければならず、信頼してもらうにはこちらの人格が問われる気がする。人格を磨いてからしか聴けないとなると死ぬまで聴けないかもしれない。 「受け入れる」ではなく「受け止める」「寄り添う」 出発点は「分からないことが分かること」分かったつもりがネック 〈動けなさ〉=生きるかどうかと格闘していて体が硬直2023/01/24

ブルーツ・リー

4
著者も最初に述べているように、これは「論」だね。 議論も大切だけれど、引きこもりの当事者からしてみたら、いくら議論を尽くされても、実際に何か支援をしてくれなくては助からない。というのが実情ではないだろうか。 著者もあとがきで「何もできていない」と書いていて、その自覚は、その通りなのだと思います。 理論があったとして、大事なのは、その論に基づいて「どのように」助けるか。という事。 研究のような内容よりも、実際の現場で引きこもりの人を助けている人の方に、より強く、自分はシンパシーを感じます。2022/02/14

しゅんぺい(笑)

4
最近読んだ、オープンダイアローグの本に通底する内容やったように感じた。聴くことがそのまま支援になる。なかなか、これが支援なんですって言いづらいけど、そういうことから時間かけてやっていきたいなあ。ひきこもりの方たちの「語れなさ」についての記述は興味深かった。2022/01/11

かばお

2
ひきこもり研究者の約20年近くの経験をもとに書かれた一冊。大変参考になった。当事者の動けないことと語れなさへの考察は勉強になった。支援者として先回りしてしまったり,自分の基準で当てはめてしまいがちなのは気を付けたいところ。自分が意識しているのは,たくさんの選択肢を相手に提示することであり,マインドセットとしては自分もいつか働けなくなるかもしれない,実際に半年近く休職したし,誰にでも起こりうることだなというもので,最終的に働けなくてもいいのではないか?とは思っているが,相手からはどう見えているだろうね。2022/12/04

プランター菜園

0
仕事でひきこもりの方に関わっていたが、なんかもやもやするところが常にあって、それを言語化してくれている感じだった。他の著作も読みたい!2024/03/09

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