- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「ひきこもり」支援とは〈生〉を支えることです。その根本には〈聴く〉ことが深く結びついています。〈聴く〉こと、それ自体がその人の存在を肯定し、意味づけるからです。一方の〈生〉が他方のそれを圧倒することなく、できるだけ対等につきあっていくには、どうすればよいのでしょうか。自分とは異なる人生を歩み、異なる価値観を培ってきた相手と、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。本書では、「ひきこもり」を通して〈聴く〉ことを考えていきます。
目次
二つの「はじめに」
一つ目の「はじめに」
二つ目の「はじめに」
第一章 「ひきこもり」支援の現在
「ひきこもり」の支援における当事者不在
当事者は支援についてどう考えているのか
「支援(者)臭」のする人
当事者と支援者の間に横たわる溝
自分の声を奪われてきた経験
〈語ること〉と〈聴くこと〉を み合わせる
コラム① 「対話」ブームが、なんだかモヤッとする
第二章 調査者としての経験から得たこと
調査における二つの難問
「ひきこもり」の当事者とは誰のことか
「ひきこもり」をどう定義するか
自分は「ひきこもり」なのか?──揺らぎを掬い上げる
当事者に対する共感と反発
〈動けなさ〉が見えるようになる
〈動けなさ〉を語る難しさ
生きることへの意思・覚悟
〈動けなさ〉を読み解く
第三章 〈聴くこと〉から支援を掘り下げるための五つの論点
【論点1】当事者に対する否定的感情との向き合い方
【論点2】支援における共感・受容の落とし穴
「受け入れる」ではなく「受け止める」
【論点3】〈聴くこと〉はどこから始まるのか
【論点4】「分かる」とはどういうことか──私が目指している「理解」
【論点5】当事者の声を〈聴くこと〉は支援になるのか
第四章 〈語れなさ〉と向き合うⅠ
「ひきこもり」を支援することの正当性
「本音」と「言い訳」を聞き分けることはできるのか
一つ目の〈語れなさ〉──言語化できない
二つ目の〈語れなさ〉──相手の聞きたいことしか語れない
「ひきこもっている本人の意思を尊重しなければならない」?
第五章 〈語れなさ〉と向き合うⅡ
話の通じなさがもたらす不安
支援の現場で生じる排除
三つ目の〈語れなさ〉──話が通じない
四つ目の〈語れなさ〉──言葉を封じ込められる
「分かる」が与える苦痛、「分からない」が与える安堵
ふたたび、〈聴くこと〉は支援になるのか
コラム② ひきこもりは怠け?
第六章 支援論──フラットな関係を目指して
なぜ当事者の声は軽く扱われるのか
「あなたのために」の怖さ
「ひきこもり」の支援は不信に根ざしている?
そもそも「ひきこもり」を支援するとは?
信頼に根差した支援へ
依存先
選択肢を増やすこと
「ダメ人間」でもなく「聖人」でもなく
フラットに付き合う──「同じ」と「違う」が無効化される地平
コラム3 「ひきこもり」の核心
コラム④ 共感ではなく存在認めて
第七章 居場所論──フラットなお付き合いのための一提案
居場所は社会復帰のための通過点ではない
雑多であることの魅力
みんなで居心地のいい空間を作る
場をともに作るパートナーとして付き合う
共通の関心事をつくる
様々な個性を持った場が増えていくこと
場を維持することの大切さと、そのための工夫
世の中は意外にカラフル──「ひきこもり支援」という枠組みから離れてみる
補論 コロナ禍のもとの「巣ごもり生活」と「ひきこもり」は同じか?
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とろ子
ブルーツ・リー
しゅんぺい(笑)
かばお
プランター菜園