ちくま新書<br> 日本半導体 復権への道

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ちくま新書
日本半導体 復権への道

  • 著者名:牧本次生【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/11発売)
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  • ISBN:9784480074423

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内容説明

米中間の半導体摩擦が起き、現在も需給が逼迫するなど、世界で半導体の重要性が格段に高まっている。半導体をめぐる国際競争の現状はどうなっているのか。日本の半導体に未来はあるのか。日本半導体産業のパイオニアである著者が、かつて世界を制した日本の家電産業を支えていた半導体の急速な発展の歴史と、日本の半導体産業の盛衰をたどり、現在の日本の持つ強みと弱みを分析。我が国の命運を握る半導体産業の復活の道筋を明快に提示し、官民連携での開発体制を提唱する。

目次

まえがき
第1章 半導体をめぐる最近の動向
1 米中半導体戦争
半導体戦争の背景
米国半導体の生い立ち
日米半導体摩擦
半導体は大統領のマター
米国半導体の強みと弱み
中国半導体の現状と課題
米中半導体戦争
窮鼠の状態の中国半導体
2 半導体材料をめぐる日韓摩擦
半導体材料の対韓輸出厳格化
半導体摩擦から不買運動へ
その後の状況と日韓関係の行方
3 突然の半導体不足
半導体不足が自動車産業を直撃
自動車産業を襲ったさらなる不運
一九九〇年以降のシリコン・サイクルの経緯
今回の半導体不足は複雑骨折
台湾依存からの脱却
4 世界半導体産業の概況
半導体関連産業
川上産業の状況
半導体デバイス産業の状況
川下産業の状況
日本から消えた半導体ビッグ・ユーザー
第2章 半導体は現代文明のエンジン
1 「まさか」のトランプ大統領誕生
「産業のコメ」から「文明のエンジン」へ
トランプ大統領の勝因は?
半導体の進化でスマホが誕生
2 CMOSが変えた世の中
昔のスパコン、今は掌上に
IBMを救ったCMOS技術
スマホはCMOSの申し子
3 傍流から主流へ──CMOSの歩み
七〇年代の業界常識
CMOSの高速化
CMOSが半導体の主流へ
4 半導体は現代文明のエンジン
進化するCMOSチップ
デジタルノマド誕生の予想
定住か遊牧か、変わる働き方
広がるデジタルノマドのトレンド
半導体(CMOS)の進歩なくしてはあり得なかったこと
アップルカーのインパクト
第3章 一国の盛衰は半導体にあり
1 日本のイメージを変えた半導体
「安かろう、悪かろう」から「最先端、高品質」へ
半導体による奇跡の復興
超LSIプロジェクト
2 国際競争力のランキング推移
日米の逆転
デジタル革命のインパクト
3 各国首脳の半導体への取り組み
半導体の持つ威力
半導体に関心を示さない日本の首脳
4 半導体は一%産業にあらず!
多くの産業の基盤となる半導体
第4章 半導体の驚異的な進化
1 半導体の基礎知識
半導体の様々な働き
2 半導体デバイスの分類
トランジスタ構造によるICの分類
3 半導体の進化についての視点
進化についての三つの視点
4 半導体史上の三大革新
トランジスタの発明
シリコンバレーの起源
IC(集積回路)の発明
ICの発明者はキルビーかノイスか?
マイクロプロセッサの製品化
パソコン市場への導入
5 ムーアの法則
ムーアの優れた洞察力
6 「カスタム化」対「標準化」
牧本ウェーブ
半導体の振り子
GAFAも作る半導体
第5章 日本半導体の盛衰
1 米国に学ぶ
日本における「半導体事始め」
技術者派遣
留学
学会参加
2 トランジスタ・ガール
ソニー井深の偉大な決断
3 半導体戦争の始まり
メモリをめぐる熾烈な競争
躍進する日本半導体メーカー
日米半導体摩擦
4 日米半導体協定の締結
政府間問題に発展した半導体摩擦
一〇年にわたった半導体協定
半導体協定のインパクト
5 昇る米国、沈む日本
巻き返しをかけた米国の決意
シェアをめぐる日米の逆転劇
アナログからデジタルへの転換
第6章 日本半導体復権への道
1 日本半導体の強みと弱み
切り口で違う強みと弱み
日本の強みは川上産業にあり
弱体化したデバイス産業
影の薄い川下産業
2 市場構造の転換──ロボットの時代来る
半導体ボリューム市場の変遷
最初の波は家電製品
第二の波はパソコン
第三の波はスマホ
第四の波はロボティクス
3 ロボットの歴史と展望
産業化以前のロボット
ロボットの実用化始まる
自律移動ロボットの登場
自動運転車時代の幕開け
自動車産業変貌の予感
ロボカップの目標は達成できるか?
4 ロボティクスの波に乗れ!
経産省の衝撃的な予測
ロボット向け半導体の特徴
官民連携での先行開発
内外の事例に学ぶ
第7章 わが人生のシリコン・サイクル
1 「ミコロビシオキ」の人生
シリコン・サイクルとは
日立半導体第一期生
日立史上最年少の部長
オイルショックで部長解任
2 メモリでの三冠達成
高速CMOSデバイスへの挑戦
DRAMへの取り組み
3 山高ければ谷深し
日立半導体の浮沈
赤字継続で左遷
マイコン特許係争問題
独自路線のマイコン
日立半導体のトップへ
半導体協定の終結交渉
二段階の降格
4 日立からソニーへ
半導体歴史館と教育事業
二つの受賞
5 日はまた昇る半導体
日本半導体応援歌
あとがき
謝辞
用語解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とくけんちょ

51
何かにつけて言われる半導体不足。米中の争いや日本の半導体業界を弱体化した日米半導体協定。浅い知識同士を結び付けたくて本書を手に取った。筆者は半導体業界の父なんだろう。途中途中で、筆者の俺が俺が的な話には若干、辟易するものの、まぁ大きな気持ちで受け入れれば、本書の展開はスムーズ、かつ、筆者の半導体への愛が伝わる。確かにスマホで日本企業は完敗してるし。基幹産業の隆盛には、国が立ち上がらなければ競争には勝てない。これほど、先を見通す力の必要な産業だったとは、勉強になった。2022/04/11

koji

20
半導体王国と言われた栄光は30数年前、今日本は、台湾、韓国、中国の遥か後塵をはいしています。私は昨年「電子立国」を読み返し、黎明期から絶頂期の日本を辿りましたが、本書は絶頂期から坂を転げ落ちる日本を克明に描いています。なぜ日本は転げ落ちたか。①デジタル革命の広がりに対応しきれなかったこと(良くも悪くも重電企業の一部門で革新性に欠けること)、②日米半導体協定による米国の国家あげての反撃を理由にあげ、その打開策を日本国内で需要を作ることとしています。その産業はロボティクス。ベースの理解は得ました。更に深めます2022/04/21

Sumiyuki

7
日米半導体協定の終結に尽力した著者は、没落の背景に他の理由を述べる。デジタル化により産業構造が垂直型から水平型に転換したため、日本の総合電機メーカーの国際競争力が低下した。また内向き志向かつ英語が不得意な日本は、グローバルな水平分業についていけなかった。さらに、変化の激しいデジタル革命に意思決定の遅さも致命的だった。復権のために、ロボティクス向けの開発を官民で取り組むべき、と主張。テスラではなくアップルカーがゲームチェンジャーだと思う理由がよくわからない。2022/05/25

confusion_regret_temptation

5
著者の自負が現れすぎているきらいはあるが、半導体の歴史から分かりやすく記されていた。復権、と言うからには隆盛と衰退があるわけだから必要不可欠には違いないが、その隆盛と衰退に割かれた部分が多く、本題の復権についてが書かれているのは6章のみで少し肩透かしな感も。2022/04/30

qwer0987

5
電子機器の川上産業にいる人間として色々参考になった。日本の半導体が衰退していく様はリアルタイムで見てきたが、言葉にして解説し、まとめてくれるので勉強になる。わかりやすくて手際がよい。著者は半導体産業を現代文明のエンジンと語り、完全敗北に向かいつつある日本半導体の進むべき道を示している。具体的にはロボティックス産業への注力だが、それはだいぶ前から注力してるわけで、どれだけ世界より先んじるかが問題であり、だからこそ政府の後押しが必要と示唆する。今後どうなるかわからないが、期待して未来を待ちたいところだ。2022/04/21

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