内容説明
最初は盲目のバイオリン奏者だった。腕は良かったが人づきあいは悪く、誰からも恨まれずにひっそりと生きてきた男が、いきなり顔の真ん中を撃たれて殺されたのだ。すぐに刑事たちの困惑は深まることになる。今度は化粧品販売の女性が射殺されたのだ。キャレラ、ホース、マイヤーら87分署精鋭を総動員した捜査が導く意外な真相とは? 半世紀におよぶ大河警察小説の最終作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
22
87分署シリーズ最終巻。この本を書き終えて、しばらく後にマクベインはガンで亡くなった。この警察小説、犯人はすい臓がんで余命少々。死ぬ前に、恨みに思った連中にも死んでもらうと決め、財産を担保に借金。浪費をしながら、グロッグで殺しを続けるというストーリー。被害者は、犯人の生活史のときどきで出会った人。だから、犯人間に関連はない。犯人のつながりで捜査を進めることができない。被害者の人となりを掘り下げるしかない。地道な聞き込みが必要になってくる。ここのところがユニークで面白い。マクベイン、最初から読んでみようか。2023/05/22
アーチャー
15
1日に3冊読んだことや、十数年読まなかった時期もありましたが、30年近く87分署シリーズと付き合い、ポケミス未収録の中編・短編意外は全作読み終えることができて、それだけで幸福&満足ですが、もう新作を読めない現実はやはり淋しいです。因みに個人的ベスト5は「麻薬密売人」「死にざまを見ろ」「灰色のためらい」「夜と昼」「血の絆」です。2013/06/22
小紫
9
87分署の最終巻を、感慨を持って読了です。私にとっては、警察ものに初めて目覚めた作品で、キャレラ家の双子もこんなに大きくなったのか〜、とある種感無量(苦笑)。色々なキャラクターが出てきましたが、誰もが生き生きとして動いているのが印象的でした。確か、ニューヨークがモデルとされていたかと思いますが、NYってこんなところかな、と想像をふくらませたものです。《図書館》2017/02/12
yudolf
2
87分署、forever……2008/06/23
章魚 たこ
1
87分署シリーズ最終巻。大団円というわけでなく作者の死亡によるもの。 ベトナム戦争、幼児ゲイ虐待、いじめ、裏切りなど心の痛みを晴らす犯人。売春婦との純愛がかなしい。最後の最後まで人間の尊厳と愛を通奏低音にアメリカ現代社会を描ききった。村上春樹なんかよりずっと格上ですよ。ノーベル賞だってあげたかった。あっ、おいら主催者じゃなかったっけ? というわけで、新しめのマクベイン作品をピックアップしたら、偶然にもすべて「最後(ラスト)」のタイトルでした。ふむ。2016/10/30