内容説明
野心家のキングは窮地に追いこまれた。彼の息子の誘拐を企てた犯人が、誤って運転手の幼い息子を連れ去ったのだ。身代金の要求は五十万ドル。もし支払えば、キングの一生の夢である会社乗っ取りの賭けがうてなくなる。拒絶すれば、罪のない生命が……! 誘拐事件に真向うから取り組んだ力作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
69
87分署シリーズ第10弾、黒澤明監督の「天国と地獄」の原作。犯人は間違えて、使用人の子供を誘拐してしまうのだが、怖い事に誰を誘拐しても成り立つ犯罪である、という論理を初めて示した作品になった。他人の命の為に裸一貫から一生をかけて築いた現在、その生活を捨てて迄お金を代わりに払うべきのか。一生をかけても返す事の出来ないお金を、子供の為に借りるべきなのか。被害者とその関係者の心理描写、犯人側の葛藤と内部対立等を中心に話が進む。よって分署のメンバーの個人的な活躍は無いが、設定中心の感動的な人間物語りになっている。2016/09/24
zero1
59
誘拐と犯人側の錯誤。87分署シリーズのひとつ。刑事たちは誘拐犯をどう追ったのか。この作品がきっかけとなり黒澤明が映画「天国と地獄」を誘拐事件について社会的に訴えるために制作(後述)。古い作品だけあって原作は物足りなさもある。身代金受け渡しの方法などを含め映画のほうが魅力的。しかしプロトタイプはいつの世も批判される運命にある。たとえマクベインであっても。気になる方は図書館で除籍になる前に読むべし。前に読んだ作品を登録。
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
50
(2023-88)久しぶりの再読となった87分署シリーズ第10弾。大手靴製造企業の重役キングの元に子供を誘拐したとの連絡。だが実際に誘拐されたのは彼の運転手の子供。果たして身代金はどうなるのか?エド・マクベインの作品と言うよりは、日本人にとっては黒沢監督映画「天国と地獄」の題材として使われた作品として有名かもしれない。身代金の受け渡しの方法は1950年代としては画期的な方法だと思う。他人の子に身代金を払うのか葛藤するキングの姿もきちんと描写されているし、ラストに犯人の一人がとった行動も印象に残る。★★★★2023/08/05
背番号10@せばてん。
32
1991年3月12日読了。87分署シリーズ第10弾。1963年公開『天国と地獄(監督:黒澤明)』の原作。(2019年7月9日入力)1991/03/12
tom
22
ボツボツと読んでいる87分署シリーズ。今回のネタは誘拐。金持ちの息子を誘拐して大金をせしめようと思ったのに、誘拐したのは金持ちの使用人の息子だった。金持ちは、なんで俺の金を出さなきゃいけないのかと抵抗する。美しい心を持てと説得する妻、口出しできない刑事たち、自分の男が犯罪の片棒を担いだと怒る女などなど、人情の機微が描かれていて、それなりのインパクト。映画になるなと思ったら、映画になっていた。黒澤明「天国と地獄」の原作だそうだ。名前は聞いたことがあるけれど、この映画は見ていない。まあ、見ないだろうなと思う。2025/02/05
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