ハヤカワ・ミステリ文庫<br> ベルリンに堕ちる闇

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ハヤカワ・ミステリ文庫
ベルリンに堕ちる闇

  • ISBN:9784151848018

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内容説明

1939年、灯火管制下のベルリンで元女優が殺害されているのが見つかる。事件は捜査を進めていくうちに混迷を極めていき……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

125
ナチスドイツを舞台としたミステリは数あるが、本書は屈指の1冊。党幹部の妻殺し事件担当を命じられた非党員の刑事シェンケが、真実を求め酷寒のベルリンを駆ける姿に引き込まれる。政治的圧力と警察官としての意地に挟み撃ちされながら、部下を守りつつ戦時下故に起こった連続殺人の捜査を進めるシェンケの苦闘が読ませる。上官はゲシュタポ・ミュラーで恋人の伯父はカナリス提督、さらに金髪の野獣ハイドリヒまで現れ役者が揃い、ヒトラー暗殺未遂に至る独裁政権下の闇と対峙する予感と続編への期待が高まる。そして最後に「彼」が出てくるとは。2022/02/01

Panzer Leader

78
ナチス政権下での警察物ってあるあるだけど、本作は凡庸な作品とは比べ物にならないくらいよい出来。まず主人公の造型が秀逸、オートレーサーあがりで事故のため軍人にはなれず刑事警察クリポの班長を勤めている。自身の信条からナチス党員にはならず、優秀且つ人間的にも秀でているため部下たちからは慕われている。政治的に中立と見られているためナチス古参党員の妻殺害事件の捜査を任されるが、各方面からの横やりに悩まされながらも矜持をもって事件を追いかける姿勢は魅力的に映る。2022/06/24

キムチ

69
最近のサスペンスの中ではピカいち。ゾクゾク・・筆者は英国歴史教師。今後、愉しみ。ナチス社会~ゲシュタポと国家警察の微妙な立ち位置 互いに「どちらが上」で肩を聳やかすケチな男ども。ゲシュタポ内部でも上下関係に固執・・こんな空気 今の東欧社会で残存している気配濃厚そう。シェンケが呟く「犯罪者どもが動かしている国で刑事である価値は・・」の言葉が痺れた。皆無とは言えずともナチス独にも人間性はあったんだと、。ルートが独人の中に見出した心のかけらはそこだったんだろう・・当時じゃ当たり前の「ユダヤの屑」という言葉に嫌悪2022/08/01

星落秋風五丈原

52
ドイツが第二次大戦に突入しようかという微妙な時期に起きた殺人事件。ユダヤ人も絡みナチスドイツが国民全てに圧をかけていく。金髪の野獣と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒ(後に暗殺)など、実在の人物も登場。第二次大戦に突入しようとする、ひたひたと忍び寄る思想統制の闇が不気味であり、当時のドイツ社会の閉塞感や市民に広がる疑心暗鬼、ユダヤ人排斥の空気、些細なことで密告される恐れのある重苦しい雰囲気が詳細に描かれており、現在のロシアもこうであろうかと想像される。2022/03/24

Nat

50
ナチス政権下のドイツが舞台。物語全般に、気がつかないうちに、とんでもない権力者に支配されていたことになっている社会の閉塞感が漂っている。今後のドイツの進む道がわかっているだけに、どうしても暗い気持ちになる。そんな中でナチス党員にならずに警察で勤務し続ける主人公には好感を持つが、ユダヤ人の被害者に対する対応は絶対ダメだろうと感じた。案の定、伯爵夫妻を巻き込んで最悪な展開に。犯人は判明するが、何とも重苦しい結末になった。今の世界も日本も少しずつ闇が迫ってきている気がする。一人ひとりが自分ごとと考えて行動すべき2022/08/05

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