内容説明
本書は、印刷・出版にかかる自由を指す「プレスの自由」が、どのような歴史的変遷を辿り、「公論」の形成に資する機能を有していったか、また、公の安寧や秩序を維持するという名目の下で、プレス法がどのように整備されていったのかを解明することを目的に、18世紀末から1850年代までのドイツ、特にザクセンにおけるプレス法制の展開を扱った。国民の政治参加に作用するプレスが法制上どのように位置づけられたのかを考究することが本書の目的である。また、プレスやプレス法の分野におけるジェンダーの実相を解き明かすため、ルイーゼ・オットー=ペータースという女性の活動がドイツ同盟やザクセン王国のプレス法制とどのように関わりながら展開されたのかを考察する。
目次
第1部 近代ドイツの幕開けとプレスの自由(一九世紀までのプレスの自由
一九世紀前半におけるプレスの自由の展開
ドイツ同盟のプレス法制)
第2部 ザクセンの立憲化とプレスの自由(立憲化以前のザクセンとプレス
ザクセン憲法の制定とプレスの自由
プレス・ポリツァイに関する命令(一八三六年命令))
第3部 ザクセンの自由主義とプレス、協会(一八二〇年代のザクセン自由主義とライプツィヒ大学
『フォークトラント誌』
プラウエン・ポーランド支援協会
フォークトラント・プレス支援協会)
第4部 女性の政治参加とプレス―ルイーゼ・オットー=ペータースの活動を手掛かりに(一八二〇・三〇年代のルイーゼとプレス
ルイーゼと著述・検閲
ルイーゼと政治・国家
『女性新聞』と「オットー法」の再検証)
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