内容説明
明初に中国全土に施行された里甲制(土地税等の公租・公課を徴収する制度)のうち、広東省珠江デルタにおいて清末・民国期まで特殊に存続した図甲制の制度的構造とともに、その構造を支えた社会的基盤を、江戸時代の村請制度と対比しつつ解明。図甲制が、土地税等の徴収・納入制度にとどまらず、華北や華中の歴史と対比した際に浮き彫りになる、珠江デルタの歴史がもつ〝個性〟を解明していく関鍵となることを指摘する。
目次
序章
第1章 清末の図甲表とそれをめぐる諸問題
第2章 清代図甲制の構造
第3章 清末、図甲制の諸矛盾とその改革(南海県仏山堡)
第4章 清末、図甲制の諸矛盾とその改革(香山県)
第5章 市場経営と図甲・紳士(順徳県龍山堡)
第6章 図甲経営と地域社会(順徳県龍江堡)
第7章 清末民国期の立戸・税契・過戸推収―『許舒博士所輯 廣東宗族契據彙録』所収史料を用いて
終章 結論と展望