「正しい」イスラームをめぐるダイナミズム - タイ南部ムスリム村落の宗教民族誌

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「正しい」イスラームをめぐるダイナミズム - タイ南部ムスリム村落の宗教民族誌

  • 著者名:小河久志
  • 価格 ¥5,060(本体¥4,600)
  • 大阪大学出版会(2021/11発売)
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  • ISBN:9784872595208

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内容説明

タブリーグというイスラーム復興運動団体の活動をタイ南部での長期調査により、初めて明らかにした。現在も続くこの地の反政府闘争とイスラームの結びつきや、固定化したムスリム世界観とは異なる側面を提示している。調査中の2004年末に発生したインド洋津波の被害、政府や外部NGOなどの復興支援が与えた影響も取り上げる。

目次

520「正しい」イスラームをめぐるダイナミズム タイ南部ムスリム村落の宗教民族史
「正しい」イスラームをめぐるダイナミズム
目  次
図表リスト
 図
  図1 南タイ地図
  図2 タブリーグの組織構成図
  図3 タイにおける初等・中等教育段階のムスリムの進学経路
  図4 クルサンパン協会の組織構成図
 表
  表1 タイの宗教別人口統計
  表2 トラン県の宗教別人口統計
  表3 タイの県別ムスリム人口統計
  表4 インド洋津波前後のM 村村民の職業構成
  表5 クルサンパン協会加盟校における進級試験の内容
  表6 M 村で実施された主な復興支援
写真リスト
 写真1 私立イスラーム学校
 写真2 ヤラー・イスラーム大学と同大学
 写真3 クルセモスク
 写真4  チャム系ムスリムが教??をとるクルアーン塾
 写真5 沿岸漁業に用いられる漁船
 写真6 魚商人に漁獲物を売る漁民
 写真7 M 村モスク
 写真8 M 村と隣村を結ぶ道路
 写真9 タブリーグ総本部
 写真10 タブリーグ・タイ国支部
 写真11 タブリーグ・トラン県支部
 写真12  トラン県支部付設のイスラーム寄宿学校で学ぶ生徒たち
 写真13 建設中のタブリーグ・トラン県支部
 写真14 タブリーグのイスラーム講話の様子
 写真15  トラン県自治体が開催したクルサンパン協会の説明会の様子
 写真16 クルサンパン協会発行の終了証(6 年生)
 写真17 モスク宗教教室の授業風景
 写真18  タブリーグのイスラーム講話の後、供された食事を大人とともに食べるモスク宗教教室の男子生徒たち
 写真19 M 村小学校
 写真20  イスラーム式の制服を着たM村小学校の女子児童
 写真21  結婚誓約儀礼で宗教リーダーから質問を受ける新郎
 写真22 船を修理する村人
 写真23 船霊儀礼で舳先に色布を巻く村人
 写真24 色布とともに花輪がかけられた舳先
 写真25 船内に香水を撒く船主
 写真26 犠牲祭の日に墓を掃除する村人
 写真27  津波により内陸まで押し流された大型漁船
 写真28 村の前浜
 写真29 津波で倒壊した家屋
 写真30  インド洋津波1 周年の追悼式典で献花する参加者
 写真31  ワールド・ビジョンからの支援物資をもらうために並ぶ村人
 写真32  ワールド・ビジョンが小学校の校舎に作った児童センター
 写真33 商務省から支給された支援米の分配の様子
 写真34 村人が乗る遠洋漁船
 写真35  ワールド・ビジョンの支援を受けて津波後、菓子の製造・販売を始めた女性
 写真36  タブリーグの中心メンバーが村人に配ったスリランカの津波災害に関するビラ
 写真37 津波後に村モスクで行われた集団礼拝の様子
 写真38 ビラが貼られた家の戸口
 写真39 ト・セが住むとされる大木
 写真40  クラゲ加工施設で働く村の女性たち
 写真41 県道沿いに設置されたM 村ビーチの案内板
 写真42 建設中の観光客向け宿泊施設
 写真43 村モスクの聖龕に掲げられた津波の航空写真
 写真44 再建された村モスク
凡 例
タイ語のローマ字表記
登場人物一覧
序 章
 第1 節 本書の目的
 第2 節 先行研究と本書の意義
  ( 1 )人類学的イスラーム研究
  ( 2 )タイ研究
 第3 節 調査の概要
 第4 節 本書の構成
第1 章  イスラーム世界のなかのタイ、タイのなかのイスラーム
 第1 節 イスラーム世界とタイ
 第2 節 タイ・ムスリム概観
  ( 1 )タイ・ムスリムの多様性
  ( 2 )対イスラーム政策
  ( 3 )イスラーム復興運動
 第3 節 M 村
第2 章 イスラーム復興運動団体   タブリーグと村落社会
 第1 節 タブリーグ概観
  ( 1 )歴史と思想
  ( 2 )組織と活動
 第2 節 タイにおけるタブリーグ
  ( 1 )歴史
  ( 2 )組織と運営
  ( 3 )タイ政府との関係
 第3 節 M 村におけるタブリーグ
  ( 1 )伸展プロセス
  ( 2 )組織と運営
  ( 3 )活動
  ( 4 )モスク委員会との連携
 第4 節 タブリーグをめぐる村人の対応
  ( 1 )ダッワ・グループ
  ( 2 )新しいグループ
  ( 3 )古いグループ
  ( 4 )村人の関係性
第3 章  イスラーム教育の拡充と正当性をめぐるせめぎ合い
 第1 節  タイの初等・中等教育段階におけるイスラーム教育
  ( 1 )小学校・中等学校
  ( 2 )クルアーン塾とモスク宗教教室
  ( 3 )クルサンパン協会
 第2 節 M 村におけるイスラーム教育の変遷過程
  ( 1 )モスク宗教教室の誕生
  ( 2 )クルサンパン協会への加盟と国家登録
  ( 3 )タブリーグとの連携
  ( 4 )小学校におけるイスラーム教育の開始
  ( 5 )国家管理下のイスラーム教育
 第3 節 「正しい」イスラーム教育をめぐるせめぎ合い
  ( 1 )モスク宗教教室の中心化
  ( 2 )存続するクルアーン塾
  ( 3 )タブリーグをめぐる対立
 第4 章 民間信仰をめぐる 実践の変容
  第1 節 民間信仰の概要
   ( 1 )船霊信仰
   ( 2 )ターヤーイ信仰
   ( 3 )アルア信仰
  第2 節 変容する民間信仰
   ( 1 )古いグループ
   ( 2 )ダッワ・グループ
   ( 3 )新しいグループ
  第3 節 民間信仰をめぐる村人の関係
   ( 1 )村人の相互関係
   ( 2 )宗教リーダーの矛盾した対応
 第5 章  宗教実践の再編:インド洋津波後の動態
  第1 節 インド洋津波
   (1 )インド洋津波の概要
   ( 2 )インド洋津波とタイ
  第2 節 M 村における津波被害と復興支援
   ( 1 )被害と復興支援
   (2 )復興支援をめぐる問題
   ( 3 )村落社会の変化
    ①経済構造の変化
    ②政治対立の発生と村の分裂
  第3 節 新たな宗教実践の誕生
   ( 1 )タブリーグの新たな宣教活動
   ( 2 )アッラーへの願掛け
   ( 3 )タブリーグの宣教用ビラの護符化
  第4 節 民間信仰の再興
   ( 1 )船霊信仰
   ( 2 )ト・セ信仰
  第5 節 村人の解釈
   ( 1 )行為主体の解釈
   ( 2 )他の村人の解釈
 終 章
  第1 節 まとめと考察
  第2 節 M 村のその後
あとがき
参考文献
索引(事項・人名・地名)

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