内容説明
日本人,漢人,朝鮮人,満州人,蒙古人,ロシア人など,満洲に生きた多民族の女性たちのさまざまな側面に資料をもとに踏み込む.婚姻,消費生活,男たちの欲望の対象としての性,女子教育,正教会の信徒,雑誌や新聞,文学や映画の中の女性像,各民族のオーラルヒストリーなどを通し,満洲国という日本の植民地下で生きた女性たちの困難な姿が浮かび上がる.戦争や近代史の空白の領域に初めて光を投げかける.
目次
第1部 日常生活を通して(満洲の消費社会と女性―ハルビンを事例として
ロシア人村と日本人開拓移民村における結婚と家族
満洲のロシア人女子教育―中等・高等教育を中心に
女性信者の生きざまを通して―ハルビン正教女子修道院と満洲国)
第2部 メディアを通して(『満洲グラフ』にみる女たち―日本人の自画像
『満洲日報』にみる“踊る女”―満洲国建国とモダンガール
小説表象としての農村ロシア人女性―日本人作家の目を通して
『私の鴬』に写った李香蘭の神話と現実)
第3部 記憶を通して(日本人女性の満洲体験―日本、中国、ロシアのはざまで
満洲に生きた漢人女性―魂の植民地化・脱植民地化という視点から
満洲移住の朝鮮人女性―女子教育に焦点をしぼって
内モンゴルに生きたダフール人、エヴェンキ人女性たち)