内容説明
西アフリカからの奴隷やインド人年季労働者によって開拓されたトリニダード.アフリカ系クレオールとインド系住民の葛藤や,著名な歴史家で独立後初の首相E・ウイリアムズの苦闘,セルヴォンやノーベル賞作家ナイポールら作家の活躍,カーニバルやカリプソ…多元的価値を内在するカリブ海の国の初の総合的研究.
目次
第1部 現代トリニダードの社会と政治(トリニダードにおけるインド系住民の合意
西インド連邦とトリニダード―脱植民地運動におけるウイリアムズの政策的ジレンマ
トリニダードの「ブラック・パワー」―ポスト・コロニアル時代の矛盾を衝く)
第2部 民衆の心象風景(ナイポールの「歴史的時間」と「非歴史的時間」
キャリバンは、本当に解放されたのか―ラミングによる、失われた西インド民衆史構築の試み
演じる人と観る人と―セルヴォンが描く異郷の風景
トリニダードのカーニバル―人種間の反目から和解へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コカブ
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トリニダード・トバゴを取り扱った本が珍しくて手に取った。同国は、アフリカから奴隷として移入されたアフリカ系住民と、その後に年季奉公契約で移民してきたインド系住民が半々という国民構成に特徴がある。そこから、第一部では独立後の政治状況を分析している。第二部では、ナイポール、ラミング、セルヴォンといった作家の活動や、カーニバル、カリプソ(音楽)といった文化活動から民衆の心象風景を描き出している。カリブ地域はアフリカ系住民中心と思っていたので住民構成は意外だったし、ナイポールがインド系というのは驚いた。2014/08/28