中公新書<br> 三好一族―戦国最初の「天下人」

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中公新書
三好一族―戦国最初の「天下人」

  • 著者名:天野忠幸【著】
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 中央公論新社(2021/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026651

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内容説明

阿波の守護細川氏に仕え、主家に従い畿内に進出した三好氏。全盛期の当主長慶は有能な弟たちや重臣松永久秀と覇業に邁進し、主家を凌ぐ勢力となる。やがて足利将軍家の権威に拠らない政権を樹立し、最初の「天下人」と目された。政権が短命で終わった後も、織田信長の子や羽柴秀吉の甥を養子に迎えるなど名門の存在感は保たれ、その血脈は江戸時代になっても旗本として存続する。信長に先駆けて天下に号令した一族の軌跡。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

120
三好長慶が主要登場人物の時代小説を読んでいるので、三好一族についてもっと知りたくなった。細川管領家に仕えて畿内に進出した三好氏が、その細川と血まみれの権力抗争を続けた果てに長慶が足利将軍家を追放し京を支配した経緯がよく理解できる。この点では確かに信長に先んじた存在だが、天下獲りを意識していたとは思えず天下人と称すべきか疑問が残る。むしろ実権も威信も財力軍事力も失った足利義輝が、将軍という虚名にしがみついて三好打倒のため卑怯な手段を繰り返した末に殺される姿が哀れだ。三好とは動乱期に偶然咲いた徒花だったのか。2021/11/29

六点

93
2025年初読了本。0年代以降急速に研究が進展した阿波三好氏について、基本となるべき一冊。何というか、血生臭い。当主やそれに近い一門も死んだり殺されたりしまくりである。この命の無駄遣いが、三好氏の天下が儚いものになった原因であろうと感じた。三好三人衆による足利義輝暗殺が御所巻による偶発的事件ではなく、真面目な政権奪取を目的としたクーデターであるとの指摘には驚かされた。これから結構積ん読になっている三好氏関係の本を読んでいくには、最良の選択補助線となる一冊である。2025/01/02

HANA

70
戦国というと、地方の信長や信玄、謙信を連想しがち。畿内というと力なき足利将軍家を連想してどうしても印象が薄めになるのだが、本書を読むと実質戦国初期から中期の畿内は三好を抜きにしては語れない事がよくわかる。本書では畿内の三好政権の成り立ちから終焉までを手際よくまとめられており、割と漠とした印象だったこの政権が自分の中ではっきりとした形をとったような気がする。永禄の変の考察も面白いし。ただこの政権は長慶一人の偉大さにかかっていたのと、将軍という重しを最後まで取れなかったのが致命的。信長以前、面白く読めました。2021/11/29

みこ

44
三好長慶を中心に三好一族の興亡を描く。信長目線だと今川・斎藤に続く中ボス(三大かませ犬?)の印象が強いが、義昭を奉じて上洛した信長以上に将軍権力を否定していた。幕府衰退の経緯がより分かりやすくなる。摂関政治の破壊者と思われた白河法皇が実は摂関家とズブズブで先代後三条の改革を保守寄りに揺り戻した構図に似ているかも。そして、足利家で数少ない武人のイメージが強かった義輝が政治家(武家の棟梁)としてはかなり下から数えたほうが早い存在だったことにも驚く。かなり貴重な一冊となった。2021/12/31

かごむし

37
三好家の通史であるが、むしろ室町時代末期の足利将軍家を頂点とした社会秩序を知る一冊でもあった。衰えたりとはいえ将軍の権威は厳然と存在していたにも関わらず、織田信長を英雄視する歴史観では将軍権威はなきに等しいものとされることが多く、そもそもの背景の理解がいびつであることを知る。歪められた歴史という意味での最大の被害者は松永久秀であろう。三好家の中でも高い政治力を有し、天下に覇を唱えた三好長慶の事績は読みごたえがあるが、惜しくも40代前半で病死した。彼があと10年生きていたら歴史は大きく変わったかもしれない。2022/01/14

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