岩波新書<br> 〈弱さ〉を〈強み〉に - 突然複数の障がいをもった僕ができること

個数:1
紙書籍版価格
¥968
  • 電子書籍
  • Reader

岩波新書
〈弱さ〉を〈強み〉に - 突然複数の障がいをもった僕ができること

  • 著者名:天畠大輔
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 岩波書店(2021/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318989

ファイル: /

内容説明

中学の時,四肢マヒ,発話・視覚・嚥下障がいと共に生きることになった著者は多くの困難に直面しながら,独自のコミュニケーション方法を創る.24時間介助による一人暮らし,大学入学,会社設立,大学院での当事者研究,各地の障がい者とのつながり.絶望の日々から今までをその想いとともに丁寧に描き,また関連する制度も解説し,提言する.

目次

はじめに┴1章 「障がい者」になる┴留学先での変調┴意識が朦朧と┴治療が開始、しかし……┴昏睡状態に┴痛みが伝えられない┴一般病棟に┴「あかさたな話法」の誕生┴記憶がはっきりしている┴院内学級が始まる┴コラム 「あかさたな話法」とは┴2章 リハビリテーションの施設、養護学校へ┴施設に入所する┴施設での生活┴専門職との出会い┴施設での生活を振り返って┴外泊のときに思ったこと┴学校での学び┴溝口先生との出会い┴「まず一年、生きてみないか」┴コラム 特別支援学校┴3章 家で暮らすために┴在宅生活を始める┴僕に必要な介助とは┴ボランティアメンバーとの出会い┴大学をめざす┴受験までの高いハードル┴ルーテル学院大学の受験へ┴僕だけの受験じゃない┴コラム 合理的配慮┴4章 大学進学、そして、ルーテルでの日々┴大学生活スタート┴どう単位を取るのか┴大学での時間が増える┴ボランティアの限界┴LSSの立ち上げ┴学びの宝庫であり、リクルートの宝庫┴卒論を書く┴大学生活で得たこと┴コラム 大学での障がい学生支援┴5章 二四時間介助への道┴武蔵野市へ┴ピアカウンセリングで受けた衝撃┴支給時間の交渉について┴ボランティアから介助者へ┴二四時間介助獲得に向けて┴支給時間とコミュニケーションの質の変化┴自治体との支給時間数交渉┴コラム 重度訪問介護制度┴6章 介助者との関係性を創る┴身体介助だけでなく、コミュニケーションのための介助者┴「介助者手足論」と「おまかせ介助」┴博論執筆とジレンマ┴自己決定の質における“With who”┴引き継ぎ問題と遠隔地介助┴介助者の配慮と僕の責任┴障がい者介助のこれから┴「友だち以上介助者未満」の関係┴介助者は交換可能か┴「大輔さん、本当にいいんですか?」┴組織としての介助者集団┴「ともに創り上げていく」関係┴コラム 自薦ヘルパー┴7章 当事者事業所の設立┴事業所をつくりたい┴事業所設立の理由┴事業所を設立する┴大学院へ進学する┴「親亡き後」を考える┴一人で暮らせる家をさがす┴介助者とやることがない┴当事者事業所の運営┴大学院での研究┴三つのプロジェクトが循環┴コラム 「一般社団法人わをん」をつくる┴8章 〈弱さ〉と向き合い、当事者になる┴個人モデルから社会モデルへ┴「能力」という個人モデルを捨てきれず┴上野千鶴子教授との出会い┴母との距離を取る┴「依存」しなければ生きられない┴〈弱い〉主体としてのあり方も受け入れる┴当事者研究に取り組むまで┴当事者研究の可能性┴自己表現のすすめ┴プロジェクト型介助論の提案┴選択肢と「ケイパビリティ・アプローチ」┴当事者の選択肢を広げる支援をしたい┴おわりに┴主要参考文献┴イラスト:藤原ヒロコ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

100
最近、障がい者の当事者研究の書物が多く出版されている。中学で「発話困難な重度身体障がい者」となるも、大学受験を乗り越え、介助ボランティアの助けで2008年卒論を完成させ卒業に至る。コラムで、2016年障害者差別解消法の施行、2018年から重度訪問介護の大学修学支援事業もでき、自薦ヘルパーの存在を知った。自身で介助者派遣事務所を設立し、「個人モデル」ではなく「社会モデル」で、生きづらさを緩和する考えに移行する過程が書かれている。「依存」と介助者との関係を、<弱さ>を<強み>に展開する途上のように感じた。2021/11/11

ヒナコ

15
中途障害により重度障害者となった当事者研究者による、介護・介助論。自らの成育歴のなかでどのような支援が必要になり、また、どのような支援がなかったから困難さが増大したのかが具体的に論じられてある。内容は端的に言って、非常に良かった。本書は障害当事者の苦労と努力の成功譚として読むべきではなく、一つの思想書として読むでき作品だろう。→2022/10/10

Francis

12
重度障害者である著者が当事者としての立場から書いた自伝。天畠さんが高校卒業後、それまで例のなかった重度障碍者の大学受験を認めさせて合格し、学生ボランティアに介助されながら大学生活を送り、大学院に進学し、当事者研究のの道に入っていく人生は本当にすごいなあ、と思う。ただ、私も難聴の障害者であり、そのために中々自分の遺志を通すことが出来なかったり、コミュニケーション不全を感じたりしている身としては天畠さんはすごすぎてちょっとこちらが委縮したのも事実。天畠さんも「能力主義を内面化している」と書いているし。2023/08/24

ichigomonogatari

10
著者は24時間介護が必要な重度障がい者。自分のこれまでの歩みを詳しく語りながら、介助者との関係やコミュニケーションの取り方、その中で当事者が生きることについて考える。生活に必要不可欠な介助者との間に起きがちな「依存」やその中での「自己決定」とは何か。「当事者研究」を進める中での気づいたことは、自らの「弱さ」を発信することが社会を変えていく可能性がある、ということだった。すべての人は何かに、誰かに依存して生きていることに気づかされ、自分にも無関係な話ではないと感じた。著者の試行錯誤は今も続いている。2021/11/12

ちょび

9
天畠氏の選挙出馬から興味を持ち購入。十代で若年性急性糖尿病から脳死状態に。奇跡的に意識は戻るも発語困難な重度身体障がい者に。障害者入所施設で暮らし続けてもおかしくないところを献身的な両親と本人の努力で一人暮らしへ。高校、大学、大学院へと絶対に無理と言われる事に挑戦実現して行く。障がい者は迷惑をかけないようにひっそりと暮らすが良し!とされる風潮を打ち破る。障がい者当事者でなければ分からないことや必要なことを次々と解決し先に進んで行く強さ。介助者を巻き込み一緒に社会を変えて行こうとする大きな野望に注視したい。2022/07/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18687917
  • ご注意事項

最近チェックした商品