岩波新書<br> 日韓関係史

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岩波新書
日韓関係史

  • 著者名:木宮正史
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2021/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318866

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内容説明

日韓関係は,なぜここまで悪化してしまったのか.交流が増えるにつれて,日韓の相互理解は進むはずではなかったのか.――その謎を解明するため,本書は一九四五年から現在に至る歴史を,北朝鮮・中国など国際環境の変容も視野にいれながら,徹底分析する.一つの生命体のように変化を遂げる日韓関係の履歴と未来とは.

目次

序章 日韓関係の現状とそのダイナミズム┴第一章 日韓関係の「前史」 一八七五~一九四五年┴第一節 「西洋の衝撃」と日韓関係 対称性からの出発┴第二節 近代化をめぐる協力と対立 支配・被支配への帰結┴第三節 日本の植民地支配とその帰結 究極の非対称性┴第二章 冷戦下における日韓関係の「誕生」 一九四五~七〇年┴第一節 日韓関係の初期条件┴第二節 日韓国交正常化交渉I 一九五〇年代┴第三節 日韓国交正常化交渉II 一九六〇年代┴第四節 日韓関係の「一九六五年体制」 経済協力と安全保障┴第五節 国民レベルにおける日韓「一九六五年体制」┴第三章 冷戦の変容と非対称的で相互補完的な日韓関係 一九七〇年代・八〇年代┴第一節 米中・日中の和解と北朝鮮をめぐる日韓関係┴第二節 米国の関与削減と日韓関係 日米韓関係から日韓関係へ?┴第三節 日韓の非対称性と市民社会間関係の萌芽┴第四節 「ポスト朴正熙」の日韓関係┴第五節 非対称な日韓協力と対称化の諸側面┴第四章 冷戦の終焉と対称的な日韓関係の到来 一九九〇年代・二〇〇〇年代┴第一節 日韓関係の構造変容 非対称から対称へ┴第二節 冷戦終焉と朝鮮半島への「配当」 南北関係の改善と限界┴第三節 日韓歴史問題の浮上┴第四節 日韓パートナーシップ宣言 対称関係の「理想型」┴第五節 北朝鮮の核ミサイル問題 共通脅威に応じた相互補完的協力┴第五章 対称的で相互競争的な日韓関係へ 二〇一〇年代┴第一節 歴史問題の「拡大再生産」 「慰安婦」問題と「徴用工」問題┴第二節 北朝鮮政策 目的における対称性と方法における非対称性┴第三節 米中大国間関係 新冷戦への対応か、旧冷戦の解体か?┴第四節 歴史問題から経済・安全保障の対立競争へ?┴終章 日韓の「善意の競争」は可能か?┴参考文献┴あとがき┴日韓関係略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

93
歴史とは何を基点にするかで解釈が変わる。右寄りの人は、1965年の日韓基本条約(日韓請求権協定)に照らして現在の韓国を批判するが、私は、1910年の韓国併合を基点とすべきだと思う。欧米列強から開国要求を突き付けられ、先に独立を守った日本が協力する振りをして韓国を植民地化したことを、著者は「安心させて騙しておいて隙をついて侵略した」と表現しているが、その認識を原点としたい。日本国は国民にそれを教えようとしない。だからこそ、決して感情的になることなく、客観的事実を積み重ねたこういう本に、価値があるのだと思う。2021/10/01

skunk_c

70
戦後日韓の関係史を「非対称から対称へ」という大きな流れに整理し、その変化に対応し切れていない日韓の政府と、世論を通じてみた人々の意識に対し、再考を促す内容。日韓両地で生活経験があり、日韓の歴史問題を両国の学者で考える機会にも中心として参加した著者らしく、筆致は極めて冷静でバランスが良い。小渕=金大中のパートナーシップ宣言を再評価せよという指摘はうなずける。また本書から見えてくるのは、30年あまり前に自力で民主化を達成した若い民主主義国である韓国と、上から民主主義を頂戴して75年の日本の人々の意識の違いだ。2022/01/13

おせきはん

27
日韓関係を欧米列強の進出時からの歴史をもとに解き明かしています。日韓関係が特に経済面で対称的になったことに伴う変化に双方が対応できていない状況を理解できました。物事に向き合う基本的なスタンス、価値観の違いもあり、これまでのように棚上げはできても、歴史問題の根本的な解決は難しいと思いました。2021/09/09

崩紫サロメ

19
1875年~2010年代までの日韓関係を、1945年以降に重点を置きながら論じる。鍵となる概念が「非対称性」から「対称性」への変化。支配と被支配という非対称性は勿論のこと、戦後も日本の韓国への無関心と棲み分けがあった。冷戦下韓国にとって日本は社会主義諸国との接触の場であったという言及(p.113)、なるほど……。1990年代以降、韓国の民主化と経済発展が進み、日韓関係は「対称的で相互競争的」な関係へと変化していくが、多くの場合において目的における対称性と方法における非対称性が存在する。2021/09/29

coolflat

17
11頁。19世紀後半、欧米列強が帝国主義国家として、日本や朝鮮に「開国」を迫る。日朝の当初の対応は「鎖国」の継続、「開国」の拒否という点で共通した。しかし日本と朝鮮が置かれた状況は次の二点において違いがあった。第一に、徳川幕藩体制と李朝体制という政治体制、特にその中央集権度の違いである。徳川幕藩体制はその明治日本と比較しても、また同時期の朝鮮と比較しても、著しい地方分権体制であった。それと比較すると、李朝体制ははるかに中央集権的であった。独立性の高い地方権力は存在せず、あらゆる権力は首都漢城に集中していた2023/04/25

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