内容説明
オーウェル(一九〇三―五〇)といえば,ひとは『動物農場』『一九八四年』を想うだろう.だが三○年代から戦後にかけて展開された活発な評論活動を忘れてはならない.文学・政治・社会現象・植民地体験など多岐にわたる対象に鋭く深く切り込む彼のエッセイを貫くのは,自律的知識人に固有のあの強靱さと優しさだ.十二篇を精選.
目次
なぜ書くか┴絞首刑┴象を撃つ┴チャールズ・ディケンズ┴鯨の腹の中で ヘンリー・ミラーと現代の小説┴書評 アドルフ・ヒットラー著『わが闘争』┴思いつくままに┴ラフルズとミス・ブランディッシュ 探偵小説と現代文化┴英国におけるユダヤ人差別┴P・G・ウドハウス弁護┴ナショナリズムについて┴出版の自由 『動物農場』序文┴解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
93
ジョージ・オーウェルの比較的長めのエッセイ集です。オーウエルは「動物農場」「1984年」などのディストピア小説と「一杯のおいしい紅茶」など短めのエッセイ集を読んできましたがこれはもう少し硬派のエッセイです。私は「なぜ書くか」「チャールズ・ディケンズ」「思いつくままに」が好みで印象に残りました。「像を撃つ」は結構有名なのものですが私の好みではありませんでした。2025/12/31
ベイス
54
光文社の『あなたと原爆』と重なる評論もあるが、この岩波版には読み応えのある作家批評(ディケンズら)やヒトラー批評があり、重厚感がある。オーウェルの洞察眼は相変わらず鋭く、ためらいがなく、正直だ。一語一句大切にしたくなる。「良い小説を書くのは、怯えていない人間」という言葉が特に印象的。小説を他に置き換えることで、日々ぶれまくりの自分を、叱咤激励してくれる。激動の時代、共産主義やファシズムの罠を、地べたから鋭く批評し続けたオーウェル。もっともっと彼の言葉を読みたかった。46歳、若すぎる死が悔やまれてならない。2021/02/20
yumiha
32
就寝前読書は難解な本がいいと再読を始めたのだが、結局読了。そして初読とは違ったところに心惹かれるのは、歳のせいか?読解力がUP(かな?)したからか?ともあれ、「チャールズ・ディケンズ」論の「彼の標的は社会ではなく人間性」ちゅう箇所に意外ながらも納得。「英国におけるユダヤ人差別」や「ナショナリズムについて」は、近ごろ目につく日本人の外国人排斥ちゅう状況と絡み合わせて読んだ。ユダヤ人は嫌いだが差別はしていないという感覚を掘り下げ、愛国心と違ってナショナリズムは権力志向と結びついているという指摘に大いに頷く。2025/12/03
yumiha
25
かつて『動物農場』の英語版を授業で読ませられた(←受身でイヤイヤだった)。戯画的に描いていたとは覚えているものの、英語力のなさもあって細部は何も残っていない。『動物農場』を読み直す前に本書を、と読んだ。「絞首刑」「象を撃つ」は、ビルマ時代のエッセイだが、やはり鋭い。1940年代のイギリスの知識階級の在り様などの評論は、へえ~っ、そんな状況やったんと驚かされた(←な~んも知らん人)。また、その状況の中で浮かび上がる人間たちは、今もよく似たもんがあって、時代が変わろうと同じやなあと思わされた。 2018/08/15
masabi
18
ジョージ・オーウェルの文学、政治に対する歯に衣着せぬ評論集である。「英国におけるユダヤ人差別」「ナショナリズムについて」「出版の自由」は現代日本においても考えさせられる点が多かった。文学評論は私が読んだことのない作品、筆者が取り上げられていたので、よくわからなかったがこれを機に手にとってみたい。2016/02/23
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