岩波文庫<br> オーウェル評論集

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岩波文庫
オーウェル評論集

  • 著者名:小野寺健
  • 価格 ¥1,067(本体¥970)
  • 岩波書店(2021/11発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003226216

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内容説明

オーウェル(一九〇三―五〇)といえば,ひとは『動物農場』『一九八四年』を想うだろう.だが三○年代から戦後にかけて展開された活発な評論活動を忘れてはならない.文学・政治・社会現象・植民地体験など多岐にわたる対象に鋭く深く切り込む彼のエッセイを貫くのは,自律的知識人に固有のあの強靱さと優しさだ.十二篇を精選.

目次

なぜ書くか┴絞首刑┴象を撃つ┴チャールズ・ディケンズ┴鯨の腹の中で ヘンリー・ミラーと現代の小説┴書評 アドルフ・ヒットラー著『わが闘争』┴思いつくままに┴ラフルズとミス・ブランディッシュ 探偵小説と現代文化┴英国におけるユダヤ人差別┴P・G・ウドハウス弁護┴ナショナリズムについて┴出版の自由 『動物農場』序文┴解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ベイス

53
光文社の『あなたと原爆』と重なる評論もあるが、この岩波版には読み応えのある作家批評(ディケンズら)やヒトラー批評があり、重厚感がある。オーウェルの洞察眼は相変わらず鋭く、ためらいがなく、正直だ。一語一句大切にしたくなる。「良い小説を書くのは、怯えていない人間」という言葉が特に印象的。小説を他に置き換えることで、日々ぶれまくりの自分を、叱咤激励してくれる。激動の時代、共産主義やファシズムの罠を、地べたから鋭く批評し続けたオーウェル。もっともっと彼の言葉を読みたかった。46歳、若すぎる死が悔やまれてならない。2021/02/20

yumiha

23
かつて『動物農場』の英語版を授業で読ませられた(←受身でイヤイヤだった)。戯画的に描いていたとは覚えているものの、英語力のなさもあって細部は何も残っていない。『動物農場』を読み直す前に本書を、と読んだ。「絞首刑」「象を撃つ」は、ビルマ時代のエッセイだが、やはり鋭い。1940年代のイギリスの知識階級の在り様などの評論は、へえ~っ、そんな状況やったんと驚かされた(←な~んも知らん人)。また、その状況の中で浮かび上がる人間たちは、今もよく似たもんがあって、時代が変わろうと同じやなあと思わされた。 2018/08/15

masabi

18
ジョージ・オーウェルの文学、政治に対する歯に衣着せぬ評論集である。「英国におけるユダヤ人差別」「ナショナリズムについて」「出版の自由」は現代日本においても考えさせられる点が多かった。文学評論は私が読んだことのない作品、筆者が取り上げられていたので、よくわからなかったがこれを機に手にとってみたい。2016/02/23

呼戯人

14
オーウェルの散文は小説よりもエッセイに向いているような気がする。私は特に 「ナショナリズム」に心動かされたが、どのエッセイも優れた散文で書かれている。文学を批評したエッセイもあるが、むしろ政治的な問題を論評したエッセイが優れている。70年も前に書かれたナショナリズムの分析が現在の日本を照らし出している。極右が政権を握っている日本の現状は、「ナショナリズムとは自己欺瞞を含む権力願望なのだ」というオーウェルの言葉そのものだ。2015/10/30

Kazuo

10
12編の評論集。ほとんどは40-45年の第二次世界大戦と重なる時期に書かれた評論。二つの大戦とその戦間期が筆者が生きた時代である。彼は「どの一行をとっても直接間接に全体主義を攻撃し、わたしが民主主義的社会主義的と考えるものを擁護するために」書いている。彼は全体主義を経験した上で、あらゆる全体主義に対する警告を発する(ナショナリズム、共産主義、政治的カトリシズム、シオニズム、ユダヤ人差別等)。戦間期をできる限り長く続けることが喫緊の課題である今、この本は真っすぐに彼から私たちへの伝言となっている。 2020/07/18

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