内容説明
デビュー戦を初回KOで華々しく飾ってから、3敗1分けと敗けが込むプロボクサーのぼく。そもそも才能もないのになぜボクシングをやっているのかわからない。ついに長年のトレーナーに見捨てられるも、変わり者の新トレーナー、ウメキチとの練習の日々がぼくを変えていく。これ以上自分を見失いたくないから、3日後の試合、1R1分34秒で。青春小説の雄が放つ会心の一撃。芥川賞受賞作。(解説・町田康)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
toshi
95
2019年の芥川賞受賞作。うだつの上がらないボクサーである主人公の、熱意と失意の日々が軽妙なタッチで描かれます。ひらがなが多用されているので、簡単な内容だと思われがちですが、その実、普遍的な物事が描写されています。私は伊藤たかみ氏の文体を何となく想起しました。本作は同じくボクシングをテーマにした、飯嶋和一氏の名作「汝ふたたび故郷へ帰れず」と比較してしまいますが、「汝~」がハードボイルドなのに対し、本作品は割りと緩くソフトな小説となっています。2026/06/08
佐島楓
64
健全な男子の健全な物語のように読めて、あまり面白くなかった。ボクシングをやっている主人公の「うっくつ」は、年齢を重ねるうちに諦めてやり過ごせるようになっていく種類のものだ。そのあたりが青春小説ということか。ボクシングの身体的表現を通して普遍を描こうとしているのはうっすらとわかる。でも(ボクシングだけに)パンチが足りない。2022/01/11
三代目けんこと
36
久しぶりに芥川賞受賞作を読了。2022/04/30
Tadashi Tanohata
34
ボクシングと芥川賞はこう繋がるのか。敗戦のトラウマと減量苦で壊れゆく精神世界を、弱いボクサーが語る。弱い奴は壊れろ逃げろそして追い詰められろと。普通ならシャドーしながら読むボクシングものも、クリンチの連続で読了、こんなのもありかと1R1分34秒。2023/07/10
朗読者
29
プロボクサーの飢餓感を描いた作品。主人公はデビュー戦こそKO勝ちしたが、その後は3敗1分のプロ継続を危ぶまれる凡庸なボクサー。新トレーナーとして歳の近い選手兼トレーナーを充てがわれ、実質的にはジムから見切りをつけられている。次負ければ終わりという雰囲気が漂う。そんな中、新トレーナーに鋭い分析力があることを感じる。厳しいトレーニングと減量に耐え、新トレーナーに罵声を浴びせたり、涙を見せたりして揺らぎながら、次戦にすべてを掛ける決意を固めていく。心理描写が素晴らしく、プロボクサーを疑似体験した感覚に陥った。2022/09/06




