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内容説明
民主主義=選挙とは限らない。そして、選挙による「代表制民主主義」は、政策実現までの「時間的制約」、有権者と議員との「格差」といった欠点をもつ。21世紀に入って、世界中の市民が自国の政治家や政党を信頼しなくなってきている今、先進国の政治不信は過去最高の水準に達している。選挙によらない民主主義の形態を歴史的に振り返りつつ「くじ引き」の可能性を示す本書は、傷ついた民主主義をアップデートする希望の書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Sam
55
サンデルの著書においても、社会の分断をもたらした「能力主義」への処方箋として提示されていた「くじ引き」。代表制民主主義が「エリートが権力を私物化し専制を敷くための手段になり下がった」(「代表制民主主義はなぜ失敗したのか」)とまで言われている現状の改善策として果たして有効なものなのか興味を持って読んだ。そもそも各国で「くじ引き民主主義」が広まりつつあることにまずは驚く(不勉強)。結論として、終始説得力のある内容で、「くじ引き民主主義」の可能性を感じた。「アフター・リベラル」同様、読み応え十分の一冊。2021/12/20
樋口佳之
55
古くはアテネのそれ、日本でも裁判員とか検察審査会とかでは既に行われている事でただ机上の議論では無いのだし/ある選挙で棄権率が20%あったとして20%分の議席をくじ引きで選ばれる議員に割り当てるというもの/棄権が全ての立候補者の敗北(だってただ一度の信認を得る事さえかなわなかった訳で)と見れば妥当性はあると思う/筆者がくじ引き民主主義につながる発想を知ったのは、2015年頃のことだった。すでに日本で深刻なものとなっていた地方議会の無投票選挙に対する処方箋として行き着いた(あとがき)2021/11/21
ころこ
45
代表制民主主義の内、代表制に選挙による民意の歪みや代表者の属性の偏りによる信頼低下が甚だしく、有権者が合意形成に信を置いていない危機をくじ引き民主主義という方法で改善していこうという試みを紹介しています。既に裁判員裁判の形で司法では取り入れられていますが、この制度の導入経緯も裁判官が市民感覚を持っていないという疑いから発しました。映画『ドライブ・マイ・カー』にもあったワークショップは、再演することでその問題となった場面の治癒効果があるということ。ある決定や態度から導かれる結論がひとつの固着したものではなく2022/05/13
venturingbeyond
41
先日読了した『古代ギリシャの民主政』に続き、現代におけるロトクラシーの現状とその可能性について示す本書を通読。代議制の機能不全を、参加民主主義及び熟議民主主義の観点から補完するものとしてのロトクラシーの可能性を説く。代議制への接合について、具体的な制度構想は示されていないが、宇野先生が示すデモクラシーの根幹に位置づけられる「参加と責任」を再定置する試みとして、色々と可能性について考えるきっかけとなる一冊でした。2023/01/15
buuupuuu
26
くじ引き民主主義とは、くじ引きで選ばれた人達が情報提供などを受けながら、熟議によって政治的決定を下すというものだ。民主主義においては代表選びだけでなく議論による合意形成も重要だが、著者によればくじ引き民主主義こそそのような熟議との相性がよい。他方でそれは問題設定には向いていない。一長一短があるので複数の制度で補い合うのが望ましいと著者は言う。実際になされた事例が幾つか紹介されているが、くじ引きによって選ばれなかった人達が、選ばれた人達に対して代表されていると感じたか、議論の結論に納得できたかが気になる。2022/10/31
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