創元推理文庫<br> 慟哭は聴こえない

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創元推理文庫
慟哭は聴こえない

  • 著者名:丸山正樹【著】
  • 価格 ¥799(本体¥727)
  • 東京創元社(2021/12発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488422226

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内容説明

旧知のNPO法人「フェロウシップ」から、民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が荒井尚人に舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤務先を「雇用差別」で訴えているという。かつて勤めていた警察で似た立場を経験した荒井の脳裏に苦い記憶が蘇る「法廷のさざめき」。何森刑事と共に、急死したろう者の男性の素性を探る旅路を描く、シリーズ随一の名編と名高い「静かな男」など、コーダである手話通訳士・荒井が関わる四つの事件。社会的弱者や、ろう者の置かれた厳しい現実を丁寧な筆致であぶり出した〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第3弾。/解説=池上冬樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

263
デフ·ヴォイス③。主人公荒井尚人にも家族ができ、子育ての悩みに直面する。産まれてきた聴こえない子に、人工内耳をせずに、手話を母語として育てる決意をする。何森刑事とのバディ感も増した「静かな男」も深い感動をもたらす。全体的な静謐さの中で、弱者たちの慟哭が心に響いてくる。2022/04/11

タツ フカガワ

99
手話通訳士荒井尚人が関わる仕事から、ろう者が抱える問題や誤解などその現実を描く4話の連作。というと堅苦しいが、なにより4話がとても面白い。たとえば廃屋の宿泊所で見つかった男の死体。その身元を探っていく「静かな男」は、前に読んだノンフィクション『ある行旅死亡人の物語』のようなミステリー色もあれば、ろう者が勤務先を訴える「法廷のざわめき」は法廷サスペンスの趣もある一編。本書はシリーズ3作目のようで、前作も含め、初読みの丸山さんも気になる一冊となりました。2024/08/05

venturingbeyond

96
デフ・ヴォイス第3弾。短篇4編が収められているが、これまで同様どれも素晴らしい。4編に共通するのは、マイノリティとしての聾者が置かれた不均衡な立場。十全な医療サービスを享受することからの構造的排除、マジョリティが押しつけるステレオタイプをなぞることの強要、聴者とスタンダードな日本手話話者からの二重の排除、職場における合理的配慮の不在(エンパシーの欠如)と、それぞれ聴者のマジョリティ性が炙り出されるエピソードが続き、我々読者の認識が揺さぶられる。2023/01/18

ケイ

85
これ、草彅くんでドラマ化されてるのね。観たかったな。探してみようかな。 彼は彼女と結婚して良かったのか? 子供がそうであればどうするか話を詰めずにどうして不妊治療?とか、突っ込みたいところは全巻からあるのだが、まあ、いっか。 いい加減にこのパターンは…というのと、いやいい話だったなが混在している4話でした。2024/08/23

みこちゃん

74
デフ・ヴォイスシリーズ3作目。月日は流れ、荒井とみゆき、美和が正式な家族となり、新たな家族「瞳美」が誕生する。荒井の不安が的中し『聴こえない子』として産まれた瞳美をどう育てていくのか。今作も聴覚障害者の出産、育児、進学、就労等々、私たちがよく考えれば容易に想像できるであろうが、想像することを日常から排除している苦悩、悔しさ、悲しみが綴られている。誰もが等しく与えられた1度しかない人生を、皆同じように笑顔で充実した時間で過ごすにはどうすればいいのか。常に考えられる心に余裕を持った人でありたいと思う。2024/05/26

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