内容説明
まだツービートがいない昭和四十八年の浅草。ある日、アングラ演劇界のはぐれ者たちが、浅草松竹演芸場で、軽演劇の一座を立ち上げた。演劇史とは全く無縁なドタバタでアチャラカでノーテンキな、青春ドキュメンタリー小説。
(※本書は2021/1/15に発売し、2021/11/11に電子化をいたしました)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
54
事実をもとにしたフィクションとあります。浅草六区が活気のあった最後の時代だと思います。懐かしい芸人では、デン助劇団、コント55号の名前が登場しますが、物語は、著者が参加していた車座という劇団が中心です。個人的には、懐かしい芸人たちと交差する場面がもっと読みたかったと思いました。2021/04/04
qoop
4
無名のコント一座の一員として演芸場に上がっていた著者の青春譜。一斉を風靡し、演芸場の伝統の一翼を担った浅草軽演劇が松竹から三下り半を突きつけられる様子は、いかにもジャンルの終焉を書いたかのよう。個人の物語と大きな流れが合致していて綺麗だが、実際どうだったのか。書かれていないことにも興味が湧く一冊。「自炊の一座なんて、演芸場始まって以来みたいでしたよ。ほかの芸人さんたちが呆れてましたもん。ここはドサじゃねえんだぞって顔で」(p165)の一節は、浅草への外と内との意識差として面白い。2021/03/21