内容説明
紛争が続く祖国スーダンを飛び出し、盲目の青年・アブディンがめざしたのは、未知の国ニッポン。言葉も文化もわからない、しかも見えない世界で、幾多のピンチや珍事に見舞われながらも、ユーモアいっぱいに切り抜けていく様を、音声読み上げソフトで自ら綴った異色の青春記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
410
タイトルはヒトラーの『わが闘争』のもじりのようで、あまり感心しない。ただ、明るくさらっと書かれてはいるものの、スーダンからやってきた全盲の留学生にとっての日本での生活と勉学は並大抵の苦労ではなかっただろうと思われる。彼のフレクシブルな精神のありようが、ひいては本質的にグローバルであり得たということなのだろう。なにしろ、アフリカの内陸部のハルツームに生まれ育ちながら、鮨を何よりも愛してやまないのだから。福井から筑波、そして東京外大にたどり着くまでの苦難(?)を語る文体は限りなく明るい。彼の成功を祈る。2019/09/09
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
52
ノンフィクション辺境作家高野秀行さんの友人、盲目のスーダン人アブディンの日本留学記。全く日本語も出来ず、点字もほとんど読めない状態の白紙状態での来日。鍼灸学校でのついていけない授業、福井弁、東洋医学用語などに悪戦苦闘しつつ、周囲の協力を得て日本語でおやじギャグをかまし、夏目漱石を読み、おまけに音声認識ソフトを使って本まで出版してしまうほど上達!本人は怠け者だと書いているけれど、並大抵の努力で出来ることではないでしょう。おやじギャグを突破口に日本語を学んだというだけあり、本書でもおやじギャグ炸裂(笑)2016/05/20
活字スキー
29
冒険野郎・高野秀行さんの著書に登場した、盲目のスーダン人アブディンさんがいかに日本に適応していったのか、ユーモアたっぷりに語った痛快エッセイ。基本的に行き当たりばったりで時には壁にぶち当たって泣いちゃったりもするけど、持ち前の楽観力で我が道を切り拓いてゆく姿は、読んでるこっちまで笑顔になってしまうエネルギーに溢れていた。巻末の高野さんとの対談でも、二人の人となりと仲の良さが伝わってきて、アブの事もすっかり大好きになりました。2015/11/25
珈琲は深煎りで
24
スーダン人による日本語遊び。超絶におもしろい。父親のことをライオン呼ばわりしたり、妻は出産したのに自分の論文はまだ陣痛さえきていません、とか、自虐ネタも含めて素晴らしい。日本人よりよっぽど語彙があるんじゃないだろうか・・・。そしてそのボキャブラリーは大量の読書によって培われたというんだから、なんだか嬉しいものがあるよねぇ。2015/02/23
ちゅんさん
20
この人すごい。先のことは考えずに進む、見えないけど進む、日本語も話せないけど進む。生まれ持ったバイタリティに依るところも大きいだろうけど、私も見習いたい。それにしても文章も面白いし語彙も私よりずっと豊富ちょっと悔しいね。 ☆5つ。オススメ2017/12/07
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