内容説明
1950年代の新宿、青線地帯での男女の交わりを描いた人情話「娼婦の街」「歌舞伎町夜景」、日記や手紙で構成され思いもよらない結末で読ませるサスペンス「狂犬日記」「手紙の毒」他、様々な題材や形式を用いて、都会の街角で生きる人々の歓びと悲しみ、笑いを描いた鬼才・都筑道夫のエッセンスが詰まった幻の短篇集。2作品と日下三蔵氏の解説を加え、増補版として待望の文庫化。
目次
哀愁新宿円舞曲
娼婦の町
歌舞伎町夜景
風のたたずむ窓
トルコ・コーヒー
狂犬日記
手紙の毒
HgCl2
乳房のあるサンドイッチ
小説・大喜利
穴だらけ 一幕 できそこないのホーム・ドラマ
犯罪見本市
隣りは隣り
森の石松
編者解説 日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ドナルド@灯れ松明の火
10
都築さんの未刊行短編集。プロットに工夫・苦労したのではないか。玉石混交だった。 ややお勧め2021/12/03
てまり
3
売買春中心に、性に関する話を集めた感のある短編集。なんで売春すんの?の理由が貧困、薬物中毒、知的能力の障碍で、切実さが描かれている。この時期の男性作家だと他人事っぽいロマンシズムが多いのに。「トルコ・コーヒー」の気詰まりな状況とか、心にしこりが残る。エッセイ集で読んだエピソードもそのまま出てきてて、いろいろ印象的なものを見てきたんだろうな。いっぽう「隣りは隣り」、オンボロアパートに住むちょっとだけ後ろ暗い住民たちの騒動が楽しくて読みやすく、ひと息つける。2021/12/16
warimachi
3
さすがに語り口が巧い人だなあと。違う作風のも読んでみたい。2021/12/07
かわくん
1
一時期、都筑道夫にはまっていた。特に砂絵のセンセーが登場するなめくじ長屋のシリーズ。長屋の個性的な面々が出て楽しい。哀愁新宿円舞曲は、主に戦後の新宿を舞台にした話。特にその独特の雰囲気が分かるような描写が、当時を知らない私にもリアルに感じられた。2021/10/13
吉田正
0
やっぱり最高ですね、全然古く感じない。2021/11/19