内容説明
たくさんの観光客、住民の幸せ、持続可能という矛盾しがちな課題を、どうクリアするのか。観光大国カナダの事例にヒントをさぐる。
新型コロナウイルスによるパンデミックで、観光業は壊滅的な打撃を受けている。しかし観光業はこれまでもさまざまな逆境に直面し、それを乗り越えてきた。そもそもコロナ直前にも観光業はオーバーツーリズムに見舞われ、問題は山積みだった。コロナ終息後に観光客は戻ってくるだろうが、回復後の観光業はコロナ前とは違った形を目指さなければならない、と著者は説く。
「観光客がたくさん訪れる」「住民が幸せになる」「持続可能である」という矛盾しがちな課題を、いかにしてクリアしていけばよいのか。本書は、世界から愛される観光大国カナダで実際にあった8つの事例を紹介し、これから観光業をどのように立て直していくべきかを考えるヒントを示す。
目次
はじめに
1章 フォーゴ島
見捨てられた島が、世界の心をつかんだ
2章 バンフ
世界的リゾートを生んだ、究極の選択
3章 ケープ・ドーセット
イヌイットが、アートと観光の融合に挑む
4章 チャーチル
ホッキョクグマと生きる、世界に一つの観光
5章 バンクーバー
幸せな暮らしこそ、最高の観光資源
6章 ハイダグワイ
伝統を守り抜く、立ち入らせない観光
7章 オカナガン
ブドウの木を燃やした、農家の覚悟と挑戦
8章 プリンスエドワード島
カナダ流のおもてなしの源は、地元を大切にする心
あとがき
巻末写真
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
27
先住民をはじめとする地域の人々の文化を大切にしながら持続可能な観光に取り組むカナダの事例が紹介されています。安易に、そして過度にお金儲けに走らず、本物を誇りをもって提供する姿勢は、オーバーツーリズムに陥らないために欠かせない視点だと思いました。紹介されていたところはどこも魅力的で、せめて一か所だけでも行きたいです。2022/04/02
etsu
3
カナダの観光に関しての考え方を知れた。今までにない考え方で先進国ならではの新しい形の観光のスタイルを示している。いつか行ってみたい。2022/12/21
ゼロ投資大学
1
カナダは「多文化主義政策」を国の目標に掲げ、多様な価値観を尊重してきた。根底にある価値観は、リスペクト、相互理解、人間性などである。一言で言い表せば、「コンプロマイズ(歩み寄り)」だ。カナダは移民国家として、違うルーツや文化、習慣、考え方を持つ人がどうやってお互い幸せに暮らせるかに正面から向き合ってきた。2022/11/11
ntscp2020
0
カナダ観光局日本地区代表ということで、日本からカナダの観光を紹介、支援する著者が紹介する持続可能な観光事業に関する8つの事例を解説したもの。全体的に本当かよと思うレベルで上手くいっている事例が取り上げられているような気がしなくもないが、オーバーツーリズムにならない観光とは何ぞやと考える一助になるかと感じた。そういう雑感はさておいて、行ってみたいところばかりではある。2021/12/09




