内容説明
雑誌・新聞掲載原稿、解説、講演を大幅加筆修正、書下ろしを加え、未来の日本がどのような変化を遂げていくべきか、日本の根幹を創る「民主主義」「政治」「憲法」「教育」の4項目について論じる、内田イズムが詰まった1冊。
戦後民主主義の価値観はどのように生まれ、どのような変遷をたどったのか?
「戦後民主主義」の含意は、さまざまであるが、日本国憲法に示された主権在民、平和主義、基本的人権の尊重、また教育基本法が背景にあることには誰しも異論がないだろう。占領下に生まれた戦後民主主義はこれからどこへ向かうのか? 日本の国の根幹を支える「民意」の反映は、もう失われてしまったのか? 道徳的「インテグリティ」が欠如する政治、日本社会が「株式会社化」する民主主義、沈黙の憲法制定過程問題、貧して鈍して劣化する教育。
日本の未来を創るうえで最重要となる4大イシューを取り上げ、日本を代表する論客が日本のイディオクラシーを批判するとともに、この国の未来を問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
102
民主主義、政治、憲法、教育の4つの章で内田節が炸裂するが、ほとんどが内田先生の既出の書籍と重複していて、新鮮味は乏しい。それでも、日本社会全体の株式会社化を憂い、愛国的リバタリアンの跋扈を嘆き、政治家の道徳的インテグリティの欠如に怒りながら、「宣言と現実が乖離する場合は宣言を優先する」として憲法を擁護する先生の姿勢に、全くブレはない。教養教育を軽視し、格付け優先で多様性を捨てた大学に対する内田先生の危機感が「正直に言うが、日本の大学はこのままではもう先はない」という絶望感に変わったように見えるのが心配だ。2022/01/29
けんとまん1007
56
そもそも民主主義とはから始まり、この国には、そこに至る経験もないのでは・・・とあって、考えた。今、危うい状況にあるこの国について、いくつかの視点が提示されている。短期的・短絡的指向は増大しているが、根っこにあるのが、自分たちに近いと思わせるものへの執着・すり寄りというこおで、納得。また、教育に関する変遷も興味深い。教養とは、自分が知らないことがるということを知ることで、そこからしか始まらない。専門教育だけでいいという人たちが、数年して、やっぱり必要だといういい加減さなど。それを踏まえ、自分がどう考えるか。2022/03/23
tamami
54
一時は内田さんの追っかけを自認し、著書に見られる視点や論理の斬新さ、話の分かりやすさに喝采を贈ったものだが、近作にはやや硬い感じを受ける事が多かった。本書は内容的にはここ十年ほどの著者のブログ記事をまとめたもの。冒頭で著者も述べているように、大変分かりやすく読みやすい。同世代ということもあり、戦後の政治、憲法、教育について書かれた著者の言説に納得する部分も少なくない。こと教育に関しては、大いに同意する所。憲法についても、著者の立場は頑なな護憲論者と違って、現憲法の成立事情やそれが持っている現代日本における2021/11/16
tsu55
38
民主主義を粗末にしていけない。 内田樹は1950年生まれ、僕とほぼ同世代。戦後生まれだが、親を含めて身の回りに戦争経験者が大勢いて、その人たちから直接話しを聞いたり、その背中を見て育った。そして、戦後民主主義の恩恵を享受して平和で、そこそこ豊かな生活を送れた世代でもある。だから、著者が言っていることは身にしみて共感できる。腹の中でモヤモヤしていたけれど、なかなか言語化しにくかったことを、今の若い人たちにもわかり易いように説いてくれていて、読んでいて、そうだよ、そうなんだよと膝を叩きたくなった。 2022/02/24
さきん
32
民主主義についてのテーマ。違和感も共感も。村の寄り合いや大正デモクラシー、戦後からバブル前まで、中産階級が多い、飢饉が少ない、経済が向上している状況でかろうじて民主政治らしいことがおこなわれていたというのが日本の実情だと思う。他の国も同様。状況に応じて政体は変わらざるを得ない。民主制に希望を抱きすぎなのでは。アメリカに対する自立はすぐに基地を返還求めるだけであるとパワーの穴が空くだけなので、自国の防衛力で補完しながら再編していかないといけない。2021/12/03
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