内容説明
2011年3月11日。あの日から続く非常事態を人々はどう生きたか。何を考えたか。
論争の中で塗りつぶされていく多様性、忘却されていく過去を、ていねいに見つめ直す。
第1回PEPジャーナリズム大賞受賞のノンフィクションライターが綴る傑作。
第1章 先取りされた「緊急事態」の記録
第2章 人に会いに行く
第3章 理解、その先へ
第4章 トモヤの10年
第5章 何も知らない
終章 家族の時間
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すくすく
15
SNSの発達は自分の耳触りの良い意見だけを聞き、それ以外の考えを見ずとも済む。そして分断は進む。そんな視えない分断の線を著者は拾い上げる。2011年の東日本大震災、および福島第一原発の事故発生から10年経ち、さまざまな思いを持ちながら生きる人たち、事故当時、原発に勤務していた男性、保育所長だった女性など。線量や安全性をデータの積み重ねで見せることが唯一の正義ではなく、結局は私たちが自分たちなりにどのようにそれに向き合うか?だけなんだ。本書により震災後の福島の絡みあった糸の複雑さを思い知った。2023/08/05
あなほりふくろう
10
感情的な感想で申し訳ない。震災後の「分断」というものについて、またそこでメディアが果たした「負の」役割、そこにある無責任について思うことの多い一冊だった。人々の不安を煽り分断を誘発するのにあなた方メディアも相当に加担しただろう。当時の時点では解明されてないことも多々あった、だが「わからない」を散々に繰り返し吹聴し人々の「次の一歩」を躊躇わせ、理より感情に寄り添った「強い言葉」を受け入れる余地を広げてしまったのは誰ですか?しかも、このコロナ禍でも同じことを繰り返して。2022/04/29
おおかみ
8
“あの日”以降、我々の間にくっきりと引かれてしまった線。“あの日”から11年、再び緊急事態に直面した現在とを繋ぐように引っ張られた線。「視えない線」は様々に解釈が可能だ。/著者は現場を歩き、人に会い、「わからなさ」に直面し、考え、深め、また歩く。この11年間で加速度的に増えた「線」を辿る。それはきっと、誰もがどこかで感じながら、言語化できなかったものの正体だと思う。2022/03/10
あたまのわるいひと
2
日本におけるジャーナリズムの将来を不安に思う今、こうしたルポが世に出たのは非常に良いことに思う。そしてぜひ「さよならテレビ」「福島モノローグ」と併せて見て欲しい。 震災と言っても被害は千差万別で誰も語り尽くせない。本書でも伝えられている通り等身大な「良き代弁者」は少なかった。そして「公式な」伝承館の周囲には複雑で語り難い現実が広がっている。 一方で私はメディア側の事情も知ってはいるので単に批判的に考えてはいない。この本を通じ、言葉による分断が生じる中でも切り捨てずに、前に進もうとする人が増えることを願う。2022/10/17
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。202年11月初版。初出「群像」不定期連載「2011-2021 視えない線の上で」(2020年3月・4月・7月・10月・11月。21年1月・3月・4月・9月号)。書籍化にあたり、改題 加筆修正。2011年3月11日に発生した東日本大震災の後日譚。2021/12/28
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