内容説明
大澤真幸・熊野純彦両氏の責任編集による新たな叢書、ついに刊行開始!「自らの思考を極限までつき詰めた思想家」たちの、思想の根源に迫る決定版。21世紀のいま、この困難な時代を乗り越えるには、まさにこれらの極限にまで到達した思想こそ、参照に値するだろう。
本書は、ニーチェの道徳批判に焦点を当てる。ニーチェは道徳を批判した。今ある道徳を改善するためではない。われわれの道徳意識を「キリスト教道徳」と規定し、これに対して一切の価値転換を迫る。では、なぜ批判したのだろうか。正義や同情をどう考えればいいのだろうか。主として『道徳の系譜学』を中心に読み解き、ニーチェ哲学の魅力と射程に迫る。
目次
第一章 歴史と系譜学
第二章 価値転換とルサンチマン
第三章 良心と禁欲
第四章 道徳批判と遠近法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
36
『道徳の系譜学』を著者の専門であるカントの観点から論じている。利他的行為によって享受を受けるのは、道徳を仮言命法的なルールの体系としてとらえている。ルサンチマンが発生する位階秩序には、既にヘーゲルにおける主人と奴隷の弁証法のような価値転倒の継起がはらまれている、というように。実は例に出したこの2つの区別は重要だ。前者の偽善は当人からは忘れたふりをされている。他方でルサンチマンは決定的に忘れられなければならない。徹底的な忘却からは、あらゆる仮言命法から独立した定言命法が立ち上がるからだ。2025/05/25
あっきー
3
これは入門書なのかもしれないが、ニーチェ哲学の難解さを改めて実感し、一筋縄ではいかないと思い知らされた…道徳を批判するという異端者であるニーチェにはまだ近づけない…2024/06/19
♨️
3
『道徳の系譜学』を、①「系譜学」とは何で、なぜそれを使って道徳を考えるのか、②「ルサンチマン」概念は、我々がその内部にいる(と思っている)だけで、相当に無理があるようにも見える(たとえば「偽善」と違って(奴隷)道徳を駆動するルサンチマンはその起源が忘れられていなければならない)そうした無理が、ニーチェの中でどう描かれているか、③きわめて無理のある「ルサンチマン」は、しかし、奴隷を従わせ、貴族を従わせ、普遍的道徳を生み出したということがニーチェによって分析される、どのような戦略で無理を乗り越えたか、2022/05/03
ハッカうどん
1
ニーチェ『道徳の系譜学』のみならず、他のニーチェ書、哲学者を援用・比較・検討しながら、ニーチェの道徳理論それ自体を読み解いていく。ルサンチマンや疚しい良心など、ニーチェ哲学の鍵概念について理解を深めることができたし、着実な分析が進められるなかで「『道徳の系譜学』を書いたニーチェ」の姿がすこしつかめた(影の切れ端にも満たないかもだけど)のがよかった。著者のニーチェ→カント→ニーチェという遍歴も、本書の冷静な筆致に一役かっているのかな。本書自体が系譜学書といえるかも。テクスト内に閉じ籠ってないのがよかった。2024/08/08
takao
0
ふむ2025/01/31
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