功利と直観 - 英米倫理思想史入門

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功利と直観 - 英米倫理思想史入門

  • 著者名:児玉聡
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  • 勁草書房(2021/11発売)
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  • ISBN:9784326154135

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内容説明

行為が人々に与える結果を重視する功利主義と、結果にかかわらず守るべき義務や倫理原則があるとする義務論。現代の英米倫理学でも大きな影響力を持つこの対立は、二〇世紀以前には功利主義と直観主義の対立として論じられていた。この構図を軸とすることで、近代から現代までの英米倫理学の歴史を整理し、現代的な課題を展望する!

目次

はしがき

I 対立図式の成立

第一章 直観主義の成立
 1 功利主義と直観主義の対立の始まり
 2 ホッブズ主義の脅威
 3 デカルトの直観かロックの感覚か
 4 バトラーの良心とリードの常識道徳

第二章 ベンタムたちの攻撃
 1 ベンタムの直観主義批判と功利主義
 2 ペイリーとゴドウィン
 3 功利主義に対する批判

第三章 第二世代の功利主義
 1 スコットランド学派とケンブリッジ・モラリストの直観主義
 2 ジョン・オースティン
 3 ジェームズ・ミル
 4 ジョン・スチュアート・ミル

II 理論的展開

第四章 シジウィックとムーア──調停と破壊
 1 調停者としてのシジウィック
 2 破壊者としてのムーア

第五章 直観主義の逆襲──プリチャードとロス
 1 プリチャードの説明拒否
 2 ロスの一見自明な義務
 3 功利主義と直観主義──中間のまとめ
 4 「直観主義」から「義務論」へ

第六章 功利主義の新たな展開──規則功利主義と二層功利主義
 1 ハロッドによる「革新」
 2 規則功利主義と行為功利主義
 3 ヘアの二層功利主義
 4 思考実験を用いた功利主義批判

第七章 ロールズの方法論的革新
 1 ロールズの正義論とその方法
 2 功利主義者によるロールズ批判(1)──ヘア
 3 功利主義者によるロールズ批判(2)──シンガー
 4 倫理理論の基礎付け主義と整合説

III 現代の論争

第八章 法哲学における論争
 1 ウォルフェンデン報告
 2 ハート・デブリン論争
 3 功利主義と直観主義の論争との関連

第九章 生命倫理学における論争
 1 ビーチャムとチルドレスの四原則と直観主義
 2 生命倫理学における功利主義
 3 功利主義的思考に対する批判

第一〇章  功利と直観の二元性──脳科学と心理学の知見から
 1 特定個人の人命と統計的人命
 2 経験的思考と分析的思考──思考の二重プロセスモデル
 3 脳科学とトロリー問題

結語

あとがき
用語集
引用文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

evifrei

17
英米倫理思想史上展開された、功利主義と直観主義(義務論)の論争を丹念に解説する。第一部では対立図式の展開としてベンサムからミルに至る迄の古典的な功利主義と直観主義を、第二部では理論的展開としてミル以降の功利主義と直観主義を扱う。特に20世紀以降の直観主義としてロールズが引かれるが、ロールズを直観主義の文脈で考えた事が無かったので目から鱗状態だった。また、現代の両立場の論争を対象に検討する第三部は法哲学(ハート=デブリン論争)・生命倫理・脳と心理学部を扱うが、議論が鮮明かつ明瞭であり非常に面白く解りやすい。2020/04/09

大道寺

4
6年ぶり再読。前回感想からあまり変わらないように思うけど、前回より直観主義側の理解が難しくなっているように感じた。以前「多数派の都合で殺されるかもしれないということを考えるとロールズのような考え方による修正が必要であると思う」と書いたけど、ヘアの二層功利主義でも良いんじゃないかな。そもそも今の私はロールズの考え方を全然わかっていない気がする。ロールズ関連の書籍を再読予定に入れる。2019/05/02

大道寺

4
英米倫理思想史を「功利主義」と「直観主義」の対立の歴史と捉え、対立図式の始まりから現代社会における具体的な事例における両者の対立までを語る。現代において功利主義に対立する考えとして知られるのは義務論である。しかし、義務論の源流を辿れば直観主義であり、直観主義から認識論的な部分を除いて、規範理論だけを残したものが義務論であった。/ひとつ前の感想でアーレントの思想を取り上げて「共感がなければ人ではないとする人たちにはうんざりしている」ということを書いた。(1/2)2013/01/14

えむ

3
功利主義と直観主義の対立を軸として近現代の英米倫理学の流れを素描。非常に読みやすく、よくまとまっていた。網羅的ではないかもしれないが、思想史の大筋は追えるのではないだろうか。2017/03/28

わんぱら

2
規範的判断を行うための道徳理論たる功利主義と直観主義それぞれの主張とその対立内容について、その最初期から現代までを概観する本。最後の二章は、現代の生命倫理における議論への応用と、最新の神経科学がその対立に与える示唆についての考察。面白い。 全編を通じて非常に分かりやすくまとまっており、功利主義と直観主義の思想に対する基本的知識を得ることができる。 提唱者の生い立ちはboxというコラムにまとめられており、本文はあくまで思想の紹介と分析に純化しているところは最高。他の本も全部この方式でお願いしたい。2016/05/20

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