TPPと医療の産業化

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TPPと医療の産業化

  • 著者名:二木立
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 勁草書房(2021/11発売)
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  • ISBN:9784326700738

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内容説明

日本経済に大きな影響を与えた東日本大震災とTPP参入問題。これらは日本の医療政策にどのような影響を与え、この先どんな展開があり得るか。11年2月以降の医療政策の動向を最新の資料を用いて複眼的・批判的に分析、今後を予測する。社会的関心を呼んでいるTPPの医療への影響と医療の産業化を包括的に論じた初の書。

目次

はしがき

序章 あるべき医療・ある医療と東日本大震災
 第1節 「あるべき医療」と「ある医療」の相克──東日本大震災と福島原発事故後の医療政策を考える
 第2節 東日本大震災で医療・社会保障政策はどう変わるか?
 第3節 医療・社会保障・社会に対する国民意識の変化をどう読むか?
 第4節 東日本大震災・福島原発事故後の医療・社会保障について改めて考える

第1章 TPPと混合診療
 第1節 TPPと日本の医療
 第2節 TPPに参加するとアメリカは日本医療に何を要求してくるか?
 第3節 TPPへの参加が医療・医薬品産業に与える影響
 第4節 なぜ私はTPPに参加しても混合診療が全面解禁される可能性は低いと判断しているか?
 第5節 混合診療裁判の最高裁判決とその新聞報道等を改めて考える

第2章 医療産業化論の歴史的・理論的検討
 第1節 なぜ民主党政権で医療分野への市場原理導入論が復活したのか?
 第2節 医療への市場原理導入論の30年──民間活力導入論から医療産業化論へ
 第3節 「医療産業」・「医療の産業化」という用語の来歴
 第4節 日本の民間病院の「営利性」と活力
 第5節 医療ツーリズムの新種「病院輸出」は成功するか?
 第6節 民主党政権の「新成長戦略」・「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」の複眼的検討

第3章 社会保障と税の一体改革案
 第1節 集中検討会議「社会保障改革案」を読む
 第2節 「社会保障・税一体改革成案」をどう読むか?
 第3節 受診時定額負担・免責制は保険の原点か?──吉川洋氏の主張とその問題点
 第4節 厚労省「医療費等の将来見通し」で注目すべき3つのこと

第4章 介護保険制度と保健・医療・福祉複合体
 第1節 介護予防の問題点──医療経済・政策学の視点から
 第2節 日本の介護保険制度と保健・医療・福祉複合体──韓国社会福祉学会春季学術大会での報告
 第3節 日本の保健・医療・福祉複合体の最新動向と「地域包括ケアシステム」

第5章 国民皆保険史研究の盲点
 第1節 国民皆保険50周年──「いつでも,どこでも,だれでも」という標語の来歴を探る
 第2節 吉村仁氏の「医療費亡国論」は幻か?──1980年代前半の「医療費適正化」政策の再検証

初出一覧
あとがき
事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

2
著者は「TPPに参加すると米国は日本医療に何を要求するか」という問いで、3段階の予測を行っている。第1段階の要求は現行の医薬品・医療機器の価格規制の撤廃・緩和。第2は医療特区に限定した株式会社の病院経営と混合診療の原則解禁。第3は全国レベルでの株式会社の病院経営と混合診療の原則解禁、つまり医療への全面的な市場原理の導入。第1は実現性が高く、第2は長期的には否定できないが、第3は可能性はごく低いと判断している。なぜなら医療法と健康保険法の同時・抜本改正改正が必要で、政治的にも国民的にも極めて困難だからだ。2013/10/27

カムナビ

1
民主党野田政権までの話なので、その後自民党安倍からどうなったのか、そこが聞きたい。TPPとの絡みの話はそんなに多くなかった。介護分野へ異動した自分にとっては、介護保険スタートから現在に至る流れを概括した部分は非常に参考になった。医療政策って、ほんと経済ベースで話がすすむのですね。それにしても介護保険事業が全く費用対効果を出せてないって話、切ないですね。まー、そりゃそうでしょーな。 追加。上田敏の言葉。 「リハビリテーション医学は『全人間的』ということを標榜するあまり、患者の生活に『全人間的に』干渉し、『2014/01/06

Kazuhisa Takeuchi

0
リアリズムに徹したfact-drivenの書。元気が出る本ではなく、常に覚めた目で現実的な視点を提起。でももう少し楽観的な要素があってもいい気がするが。2013/02/07

壱萬弐仟縁

0
評者は、消費増税とTPPは共に反対である。この著者は、消費税引き上げと社会保障の一体化は、「主たる財源」の意味が問われている。社会保障費用のうち公費負担分の「主たる財源」である。社会保険、医療保険では、今後も社会保険料が取材源になること、だという(118ページ)。マイナンバー制度については、この著者も3点取り上げて反対している。①プライバシー侵害、②障害者差別の助長、③6000億円の費用に対する効果への疑問である(120ページ)。評者が理解しているのは、日弁連が反対、税理士会が賛成である。予断を許さない。2012/09/08

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