内容説明
哲学者ウィトゲンシュタインと数学者チューリングの間にあった「対決」とは何か? 1939年の直接対決からその後の発展にいたるまで、二人の思想の対立を詳細に検討した到達点に現れるものは? 数学の基礎をめぐる論争のみならず、認知科学の基礎をめぐる論争の中に位置づけ、認知科学における両者の思想の影響と意義を探究する。
目次
序論 ウィトゲンシュタインとチューリング
第I部 チューリングの機械とチューリングのテーゼ
第1章 チューリングの機械
第2章 チャーチ=チューリングのテーゼ
第II部 ウィトゲンシュタインの批判
第3章 ウィトゲンシュタインの1939年の講義(1)
第4章 ウィトゲンシュタインの1939年の講義(2)
第5章 CTテーゼ再び
第III部 チューリングの逆襲
第6章 人工知能とチューリング・テスト
第7章 志向性の謎とウィトゲンシュタインのスワンプ計算機
補遺1 ウィトゲンシュタインのゲーデル批判?
補遺2 ウィトゲンシュタイン,対角線論法,チューリング・ジャンプ
参考文献
あとがき
索引
著者略歴
2002年一橋大学博士課程修了.博士(社会学).北見工業大学准教授等を経て,現在,北陸先端科学技術大学院大学先端領域基礎教育院准教授.共著書に『マインド・サイエンスの思想』(新曜社,2004年),訳書に『行動を説明する』(F.ドレツキ著,勁草書房,2005年),著書にA Theory of Knowledge and Belief Change~Formal and Experimental Perspectives(Hokkaido University Press,2011年)