倫理の他者 - レヴィナスにおける異教概念

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倫理の他者 - レヴィナスにおける異教概念

  • 著者名:馬場智一
  • 価格 ¥6,050(本体¥5,500)
  • 勁草書房(2021/11発売)
  • ポイント 55pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326102136

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内容説明

「異教」とはユダヤ・キリスト教からみたその他の宗教一般、つまり西洋にとっての他者をさす。本書は、後期ハイデガーの思想を「異教崇拝」として批判したレヴィナスにおけるその概念の変遷と政治的・存在論的意義を、語と概念の歴史から出発して論ずる。「西洋哲学」の自明性の境界へと至る探求の軌跡。

目次

はしがき
凡例

序論 「異教」の問いとレヴィナス

I 「異教徒」、翻訳史と語源論争
 はじめに

第1章 ヘブライ語──タナッハにおける‘?mとg?j
 一「ユダヤ教」成立までの歴史的経緯
 二 用語上の考察、‘?mとg?jの区別、および国内異邦人
 三 小括

第2章 ヘブライ語からギリシア語へ──七〇人訳聖書における‘?mとg?jの曖昧さの修正
 一 七〇人訳聖書成立に至る歴史的経緯
 二 用語翻訳の考察

第3章 ギリシア語──新約聖書:キリスト教徒、ユダヤ教徒、異教徒
 一 λαο?(oに鋭アクセント)と?θνη(?に無気記号と鋭アクセント)の用法
 二 小括
 三 補説──パウロにおける兵士としてのキリスト教徒表象

第4章 ラテン語──ウルガタ訳における「異教徒」
 一 ウルガタ訳聖書の成立
 二 λαο?(oに鋭アクセント)からpopulusへ
 三 ?θνη(?に無気記号と鋭アクセント)からgentesへ
 四 gentilesの登場と三?四世紀における用語定着

第5章 ラテン語内部での変遷
 一 問題の概観
 二 paganus=「田舎者」(前一~後一世紀)
 三 paganus=「文民」(一世紀)
 四 paganus=「集団に属さないもの」(二世紀~)
 五 「異教徒」という意味での最初の用法(四世紀前半)
 六 paganus=「異教徒」の台頭(四世紀後半~五世紀前半)

第6章 近代語における「異教徒」
 一 近代諸語への翻訳
 二 レヴィナスの用法との関連
 小括

II 西欧精神史における異教批判の歴史
 はじめに

第1章 前史──不道徳な神々の批判と自然神学批判(プラトン)
 一 『国家』(360―400)
 二 『法律』第一〇書

第2章 聖書にみられる異教批判の基本的議論
 一 偶像と快楽主義
 二 終末論

第3章 古代護教論
 一 フィロン
 二 アタナシオス
 三 アウグスティヌス

第4章 護教論の変化と異教概念の形式化
 一 古代以降の護教論の変遷
 二 カント
 三 キルケゴール

第5章 啓蒙以後の宗教論の変遷と異教概念の変化
 一 偶像崇拝の起源論争
 二 宗教の比較歴史学(宗教の進歩史観)

第6章 ドイツにおいて再び形而上学化された宗教論における異教
 一 ヘルダー(異教の両義性)
 二 ヘーゲル(異教の「精神」史的意味)
 三 シェリング(ポテンツとしての異教の存在)
 小括

III レヴィナスにおける異教概念
 はじめに

第1章 護教的パガニスム概念の受容?──レヴィナスとマリタン
 一 「ユダヤ人問題」に対するマリタンの立場
 二 ユダヤ人の超自然性を巡るマリタンとレヴィナスの相違
 三 小括──ユダヤ・キリスト教の反パガニスム同盟の綻び

第2章 了解とは別の仕方で──異教的実存様態の対蹠点
 一 存在への釘付けと情態性
 二 繋縛を開示する情態性
 三 開示から隠蔽への移行
 四 繋縛隠蔽的情態性
 五 小括

第3章 存在者の文明論的諸様態──ユダヤ、キリスト教西欧、異教
 一 身体との同一性と居心地の悪さ
 二 世界の内在と脱出
 三 超自然対自然
 四 過去による選びの感動と現在優位
 五 小括

第4章 異教の両義性
 一 異教的存在様態の否定的側面
 二 異教の必然性

第5章 「パガニスムの危険」の消失と非場所の思想
ほか

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