内容説明
「異教」とはユダヤ・キリスト教からみたその他の宗教一般、つまり西洋にとっての他者をさす。本書は、後期ハイデガーの思想を「異教崇拝」として批判したレヴィナスにおけるその概念の変遷と政治的・存在論的意義を、語と概念の歴史から出発して論ずる。「西洋哲学」の自明性の境界へと至る探求の軌跡。
目次
はしがき
凡例
序論 「異教」の問いとレヴィナス
I 「異教徒」、翻訳史と語源論争
はじめに
第1章 ヘブライ語──タナッハにおける‘?mとg?j
一「ユダヤ教」成立までの歴史的経緯
二 用語上の考察、‘?mとg?jの区別、および国内異邦人
三 小括
第2章 ヘブライ語からギリシア語へ──七〇人訳聖書における‘?mとg?jの曖昧さの修正
一 七〇人訳聖書成立に至る歴史的経緯
二 用語翻訳の考察
第3章 ギリシア語──新約聖書:キリスト教徒、ユダヤ教徒、異教徒
一 λαο?(oに鋭アクセント)と?θνη(?に無気記号と鋭アクセント)の用法
二 小括
三 補説──パウロにおける兵士としてのキリスト教徒表象
第4章 ラテン語──ウルガタ訳における「異教徒」
一 ウルガタ訳聖書の成立
二 λαο?(oに鋭アクセント)からpopulusへ
三 ?θνη(?に無気記号と鋭アクセント)からgentesへ
四 gentilesの登場と三?四世紀における用語定着
第5章 ラテン語内部での変遷
一 問題の概観
二 paganus=「田舎者」(前一~後一世紀)
三 paganus=「文民」(一世紀)
四 paganus=「集団に属さないもの」(二世紀~)
五 「異教徒」という意味での最初の用法(四世紀前半)
六 paganus=「異教徒」の台頭(四世紀後半~五世紀前半)
第6章 近代語における「異教徒」
一 近代諸語への翻訳
二 レヴィナスの用法との関連
小括
II 西欧精神史における異教批判の歴史
はじめに
第1章 前史──不道徳な神々の批判と自然神学批判(プラトン)
一 『国家』(360―400)
二 『法律』第一〇書
第2章 聖書にみられる異教批判の基本的議論
一 偶像と快楽主義
二 終末論
第3章 古代護教論
一 フィロン
二 アタナシオス
三 アウグスティヌス
第4章 護教論の変化と異教概念の形式化
一 古代以降の護教論の変遷
二 カント
三 キルケゴール
第5章 啓蒙以後の宗教論の変遷と異教概念の変化
一 偶像崇拝の起源論争
二 宗教の比較歴史学(宗教の進歩史観)
第6章 ドイツにおいて再び形而上学化された宗教論における異教
一 ヘルダー(異教の両義性)
二 ヘーゲル(異教の「精神」史的意味)
三 シェリング(ポテンツとしての異教の存在)
小括
III レヴィナスにおける異教概念
はじめに
第1章 護教的パガニスム概念の受容?──レヴィナスとマリタン
一 「ユダヤ人問題」に対するマリタンの立場
二 ユダヤ人の超自然性を巡るマリタンとレヴィナスの相違
三 小括──ユダヤ・キリスト教の反パガニスム同盟の綻び
第2章 了解とは別の仕方で──異教的実存様態の対蹠点
一 存在への釘付けと情態性
二 繋縛を開示する情態性
三 開示から隠蔽への移行
四 繋縛隠蔽的情態性
五 小括
第3章 存在者の文明論的諸様態──ユダヤ、キリスト教西欧、異教
一 身体との同一性と居心地の悪さ
二 世界の内在と脱出
三 超自然対自然
四 過去による選びの感動と現在優位
五 小括
第4章 異教の両義性
一 異教的存在様態の否定的側面
二 異教の必然性
第5章 「パガニスムの危険」の消失と非場所の思想
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