内容説明
担仔麺に小籠包、臭豆腐、茶葉蛋、豆花…。台湾を代表する現代詩人が民間に根づいた食べものを題目に冠し、その味わいを綴る六十篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
110
台湾。日本から一番近い国といっても過言ではない。コロナがなければ私もいっていた!そんな国の食べ物を著者が台湾の歴史や自分の人生と重ねてまとめたフードエッセイとでも言えるのがこの本である。この本を読んでいると外国の空港のロビーに入ったような空気感を味わえる。それだけではなく、夜市の喧騒や艶やかな光。その全てを感じる。内容も素敵でサバヒーは始めてきく魚であったがぜひ食べたいとおもうし豆乳・ルーローハン・小籠包想像しただけでお腹が空く!台湾が好きな人や台湾に行ってみたい人などにぜひ読んでほしい本になっている!2022/05/12
サケ太
23
素晴らしいエッセイ。著者の人生を振り返りつつ、その中にあった台湾の味とともに語られる“あの日”の情景。様々な料理。著者にとっての、そこに住む人々にとっての思い出の味の数々。料理には様々な物語が寄り添っている。食べる人々。作る人々。食材から産地。様々な事に思いをはせるのは面白い。台湾料理を食べたくなる。特に台湾珈琲とか飲みたいなぁ。『最高といえる食べものは、なべて食材そのものだ。素晴らしい食材は人の記憶と感情を呼び起こす。白切鶏が表現するのは、本来の味をよしとする美学だ。』言葉のチョイスが素晴らしい。2021/12/12
アリーマ
16
台湾の文学者で詩人の著者による食の風景が60編。担仔麺から始まって、白斬鷄、四臣湯、烏魚子、小籠包、猪血湯、豆花、麺線などなど、多彩な街角の小吃を絡めた8ページほどの小文が並ぶ。それぞれなんとも言えず味わい深く、行間から湯気や香りが立ち上ってくるよう。読んでいるうちに遮二無二台湾に行きたくなって身悶えしながら読み耽った。空腹で読めない究極のメシテロ本。挿話として現れる愛妻の逝去にまつわる思い出や、家族や友人とのひと時も胸に沁みる。コロナ禍が明けたら何を置いてもこの本を持って、必ず台湾に行くぞ!★★★★★2022/01/26
Olive
10
美味い!だけではすまされない。言葉がほとばしる。詩人が味を言葉にするとこのようになるのだ。「油の温度は劇場のごとし」「その美味で空がきらりと輝いてみえたほど」、ちまきを蒸かす時の結び目は「初恋の相手の手を握るように、柔らかく、だがしっかりと」どうだろう。台湾に行きたくなるではないか、台湾で食べたくなるではないか。何かを自身の言葉で表現するということは、その食べ物と感じている自分を分かち難く結びつけ、誰でも食べるその味でもそこに唯一無二の関係ができるのだな。2025/05/01
K1
10
著者が偏愛している台湾料理160種から60種類を選りすぐり、日本語版用に並び変えられた特別なコース料理として堪能させていただきました。日本の調味料と食材で作ることができるレシピ本を活用して、実際に食してみたいと思います。2022/03/03