コロナ・アンビバレンスの憂鬱

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コロナ・アンビバレンスの憂鬱

  • 著者名:斎藤環【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 晶文社(2021/10発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784794972781

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内容説明

コロナ禍という人類史上希な病理下において、人々の精神を支えるものはなにか?
人と人とが会うことが制限される状況下で、我々はどう振る舞うべきなのか?
ひきこもり問題、オープンダイアローグの第一人者が綴る、コロナ禍を生き延びるためのサバイバル指南書。
感染症をキリスト教の〈原罪〉になぞらえて自粛風潮の危うさを訴えた「コロナ・ピューリタニズムの懸念」、災厄の記憶が失われていくメカニズムをトラウマ理論に結びつけて分析した「失われた『環状島』」、対面の場から生まれる根源的な暴力性を問う「人は人と出会うべきなのか」など、ネット上で大反響だったコロナ関連の論考を集大成。コロナ禍という未知の時代を生きていかなければならない我々のヒントとなる、貴重な論考集。

私は、コロナ禍がそれほど社会や人間を変えるとは思っていない。(…)おそらくコロナ禍が過ぎてしまえば、社会が驚くほど変わっていないことに人々は気付かされるだろう。(…)私が注意を向けているのは、ふだん「日常という幻想」が覆い隠しているさまざまな過程や構造が可視化される場面だ。「親密さとは何か」「不潔とはどういうことか」「人の時間意識を構成しているものは何か」「社会はどのように災厄を記憶するのか」そして「対面(臨場性)はなぜ求められるのか」。いずれもコロナ禍でなければ問われることのなかった問いばかりだ。(「あとがき」より)

【目次】

はじめに

1.〝感染〟した時間
コロナ・ピューリタニズムの懸念
失われた「環状島」
〝感染〟した時間
人は人と出会うべきなのか
会うこと、集うことの憂欝と悦び

2.コロナ・クロニクル
「医療」に何が起こったか
第3波の襲来とワクチンへの期待
コロナ・アンビバレンスとメディア
コロナ禍のメンタルヘルス
リモート診療の実態とリモート対話実践プログラム(RDP)
リモート教育は「暴力」からの解放である
コロナ禍で試される民主主義

3.健やかにひきこもるために
健やかにひきこもるために
リアリティショーは「現代の剣闘士試合」か
「マイルドな優生思想」が蔓延る日本に「安楽死」は100年早い
「鬼滅の刃」の謎─あるいは超越論的炭治郎
「意思疎通できない殺人鬼」はどこにいるのか?
亡き王女(猫)のための当事者研究

あとがき

カバー画像:《同じ月を見た日》
コロナ禍に孤立感を抱えている、ひきこもりを含む様々な事情を持った国内外の人々が参加するアートプロジェクト。各々の場所から月の撮影を行い、ここに居ない誰かを想像する。
企画:渡辺 篤
撮影:「アイムヒア プロジェクト」メンバー約50名
画像配置協力:紅、田中志遠

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

47
“ほとんど依頼原稿しか書いたことがなかった”著者が、コロナ禍でメンタルに変調を来し、<その変化がひょっとすると普遍的な意味を持っているのではないかと気付いたことから、ひさびさに自発的に文章を書いてみようという気に>なって、「note」に文章を発表。それが本書のきっかけに。感染症をキリスト教の“原罪”に擬えて自粛風潮の危うさを訴えた「コロナ・ピューリタニズムの懸念」など、コロナ禍を生き延びるための指南書。著者は現在、オープンダイアローグの第一人者であるが、本書の印象は、別の肩書き“ひきこもり”の専門家。⇒ 2022/11/08

ころこ

40
著者の言葉はコロナ禍でこそ際立っていたと思います。密かに著者のnoteを読んで救われたひとも少なくなかったのではないでしょうか。ひきこもりに対応してきた言説はコロナ自粛に応用できたからです。「災害ユートピア」は終わり、うつ病は回復期が最も危険だということなので、感染者が減り社会が動き始めた現在、自分が立ち直りに遅れているという感覚を持ってしまったひとは、念のために本書を読んでみることで自己治療=軽症化の効果があったらめっけもんです。①子宮頸がんワクチンに対して生権力の行使だというマスコミのキャンペーンが、2021/11/12

yutaro sata

10
コロナに関する斎藤環さんのエッセイをまとめた本。全員が当事者になる現象(コロナのこと)では上手く記憶というものが機能しないのではないか、というような話や、臨場性、実際に会うことの暴力性の話が刺激的でとても面白いです。2022/05/07

coldsurgeon

5
コロナ禍が世界や人類に明らかな変化をもたらしたかはわからない中で、それを生き延びるというか、やり過ごすために、自分の心の中を少し整理しておいたほうが良いようだ。「コロナピューリタリズム」「コロナアンビバレンス」という言葉に、納得しながら、読み進めると、その先に光が見えたわけではなく、変わらない世界があり、そしてそれを少し視点を変えてみている自分がいることに気づいた。日常という幻想が覆い隠しているものが、表出したのだろうか。2021/12/03

Asakura Arata

4
佐藤優先生との対談の内容とかぶるところ多し。コロナ禍での時間感覚に関しては確かに、のっぺりとした時間の流れが淡々進んでいくようなかんじであり、メリハリがないのだが、昔のムラ社会で一生終えるような人は、同様の時間間隔だったのではないかと思う。限られた空間で毎日のルーチンをすることが当たり前で、ときどきハレの日があっただろうが、そもそも時間がどうとか考えなかったと思うし。2022/02/20

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