集英社文芸単行本<br> 語りなおしシェイクスピア3 じゃじゃ馬ならし ヴィネガー・ガール

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集英社文芸単行本
語りなおしシェイクスピア3 じゃじゃ馬ならし ヴィネガー・ガール

  • ISBN:9784087735093

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内容説明

ケイトは、率直な物言いが世間に受けない29歳。エキセントリックな科学者の父と、15歳の妹の三人暮らし。植物学者を目指していたこともあったが、今はプレスクール教員のアシスタントをしながら家事を切り盛りしている。ブロンド美人で夢見るような表情を浮かべている妹は男子にもてるが、ケイトにはいまだに恋人がいない。そんなある日、父が、外国人の優秀な研究助手ピョートルの永住権を獲得するために、とんでもない提案をもちかけてきた――。<女性蔑視>疑惑のあるシェイクスピアの問題作『じゃじゃ馬ならし』を、心の機微を描く名手アン・タイラーが、軽やかにしなやかに語りなおす。

目次

英米文学
新訳
シェイクスピア
リトールド
『ここがホームシック・レストラン』
全米批評家協会賞
『ブリージング・レッスン』
ピューリッツァー賞
『A Spool of Blue Thread』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

73
【月イチテーマ 恋愛】アン・タイラーによる現代版『じゃじゃ馬ならし』。作者は「嫌いだから」だという理由でこの作品を選び、「人物のふるまいがとても不可解」「何かほかの側面もあるのだと思わざるをえない」といい、それを明らかにしたそうだ。というわけで、この作品では、私が気になっていた姉がじゃじゃ馬になった理由が描かれている。それも幾つも。私が『じゃじゃ馬ならし』で引っかかっていたことに焦点を当ててくれて、本当に嬉しい。2021/11/12

ヘラジカ

64
確かに性差別的で不愉快なあの古典を、大好きな『アクシデンタル・ツーリスト』の作者がどのようにリメイクするのか、大いに期待しながら待っていた。流石はアン・タイラー。無難ではあるが違和感のない気持ちの良い物語に生まれ変わっていて感服した。少し脚色(というか改竄)が多いようにも感じたが、この作品に関してはそれも必要不可欠だろう。作者の持ち味であるホームコメディのような面白さもしっかり取り入れられており、原典を知らない読者が読んでも十分に楽しめて、幸せの形について何かを感じ取れる作品ではないだろうか。満足の快作。2021/09/25

たま

49
中世的で粗野な芝居『じゃじゃ馬ならし』が原本。今さらそれをどう書き直すの?と訝しみつつ読み始めたが、とても面白かった。結婚に至る状況の設定に無理がなく、ヤングケアラーで無愛想なヒロイン、彼女に結婚を押しつける無神経だが愛情もある父親、掴みどころのない外国人の求婚者など、登場人物の個性も彼らの感情の襞も巧みにそして軽やかに描かれている。時代や国や性別は違っても、安定したパートナーを選ぶ際の喜びと不安、ときめきと恐れに変わりはない。原作から設定だけ借りて、原作の預かり知らないその真実と真っ直ぐ向き合った作品。2021/11/27

星落秋風五丈原

43
リトールドというよりは換骨奪胎である。研究者としては有望だが父と夫としてはいまいちだった父に代わって家の事を取り仕切っているしっかりものケイトが、優秀な研究助手ピョートルを失いたくない父に頼まれて偽装結婚をするというもの。目的があって結婚するというストーリー自体はこれまた韓国ドラマで何度も出てきたし、最近は日本でも契約結婚という形で登場。形式だけのつもりだった結婚が、当人同士の間ではいつしかそうではなくなってしまうストーリーはもはや王道である。 2021/10/23

tetsubun1000mg

29
先月、「この道の先に、いつもの赤毛」をはじめて読んで面白かったので選ぶ。 シェークスピア原作を解釈しなおした本との事でハードルが高った。 読み始めると今の時代の設定になっているようで以外に読みやすかった。 マイペースのケイトの人物描写が絶妙で、幼稚園児たちとレベルが合って仲がいいのに笑ってしまう。 研究者の父親、15歳だがケイトとは違って今どきの女の子らしい妹との会話が面白く、まるで日本のTVドラマを見ているようにも感じた。 「じゃじゃ馬ならし」という原作らしいが、ベテランの腕が冴えた作品となっている。2022/06/09

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