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内容説明
緊張で体が固まったり言葉が出なかったり。そう、体は思い通りにならない。でも体にだって言い分はある。しゃべること歩くことがどんなに大変か私たちは知らない。さあ体の声に耳をすまそう。思いがけない発見が待っている。きっと体が好きになる14歳からの身体論。
目次
第1章 体の声を聞く
第2章 体、この不気味なもの
しゃべれるほうが変。
勝手にやってくれてる
ふたつの「ん」
「ん」と「ぶ」のあいだ
体の身になって考える
体のアイデンティティ
第3章 体がエラーを起こす
連発
体が試行錯誤してる
吃音は「あいだ」で起こる
「伝える」と「伝わる」
楽にどもれている
第4章 恥ずかしいのはいやだ
難発
三島由紀夫『金閣寺』
眠る前の孤独
敵でもあり味方でもある
自分をつくる
第5章 自分らしい体
言い換え
固有名詞の壁
本当じゃない自分が出てくる
ずれるから発見する
どもることで自分をとりもどす
体の多様性
第6章 メタファーを味方につけよう
体について探究するために
現実の多様な見方
きみだけの「言葉」を獲得する
相手にきみになってもらう
体を信頼する
◆次に読んでほしい本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
110
「どもる体」の伊藤亜紗が、思い通りにならない体についてやさしく語りかけるように論じている。彼女が自身の吃音を研究する内に、普段当たり前のように考えられている「言葉をしゃべる」という行為が、長い時間をかけて行えるようになった複雑な体の使い方と気づくようになった。三島由紀夫「金閣寺」で主人公が吃音を、鍵が錆び付いてしまっている扉のようと表現している。誰にでも思い通りにならない体であるが、だからこそ思いがけないこともあるはずだ。体の声に耳を傾けよう。体をメタファーで表現してみよう。言葉で自分の体を作り出すんだ。2021/12/30
けんとまん1007
72
伊藤亜紗さんの本は、発見がふんだんにあって興味が尽きない。伊藤さん自身、吃音であること、その吃音にもいろいろあることを題材のスタートとしての身体論。思い通りに身体を使おうというほうが、間違っているのではと思っている。場合によっては、身体の動きに委ねることもいいのではないか。そこから、新たな気づきや発見があるはずだ。2022/01/11
とよぽん
49
タイトルから予想していた内容と違って、著者伊藤亜紗さん自身の「吃音」を例に挙げた身体論だった。一口に「吃音」といっても、連続や難発、言い換えなどの「症状」があって、身体のエラーとかストライキと書かれている。とても分かりやすく、腑に落ちることがたくさんあった。体の声に耳をすますと、思いがけない発見が待っている! ちくまQブックス、面白い。2021/12/30
zag2
34
ああ、良い本に出会ったなあ…というのが感想です。14歳からの…とありますが、オジさんが読んでも、おじいさんが読んでも、良い本だと感じました。ご自身の吃音をもとに体のことを考えるアプローチですが、本に書かれているとおり、吃音でなくとも自分の体って思い通りにならない。でも、ここからスタートしてみようと改めて思えた一冊でした。「次に読んでほしい本」として巻末に紹介されている本の中に、鹿子さんの「へろへろ」が載っていて、ちょっと嬉しい。2022/02/09
T
21
いわた書店一万円選書2冊目。とても心地よく揺さぶられました。著者も当事者である吃音を一例に体のままならなさを考える本。10代向けのちくまQブックスというシリーズなので、平易な表現だからこそ刺さる。言葉ではなく体から伝わること、相手の体で感じ取ってもらうこと、自分の体と対話することなど、私も10代のうちに知りたかった…けど、今だからスッと入るのかもしれない。10代は自意識に忙しかったからね。自分なりのメタファーを与えることで、得体の知れない他者みたいな体に形を与えるってたしかに私の研究にも通じている。2023/01/01