陪審員C-2の情事

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陪審員C-2の情事

  • ISBN:9784093567251

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内容説明

米女性作家によるリアルで残酷な法廷と恋愛。

 フロリダ州で起きた乳児焼死事件。放火の疑いをかけられた裁判の被告は、乳児の義理の姉である十代の少女だった。陪審員として7名の男女が集められるが、裁判期間中は郊外のモーテルに隔離、名前も伏せられ番号で呼ばれる。陪審員同士の個人的交流も固く禁じられていた。そんな中、老齢の夫を持つ50代のカメラマンC-2は、年下の解剖医と禁断の情事に身を投じていく。被告の運命を握る重責と正義に対する思い、女性としての焦燥や欲望の間で揺れるC-2の運命の歯車が狂い出す…。
 M・フリーマン、D・キートン主演のヒット映画『眺めのいい部屋売ります』の原作著者が乾いた筆致で描く、リアルな法廷小説にして残酷な恋愛小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

57
深刻な陪審裁判と熟年男女の禁じられた情事が並走し混じり合う構成、淡白と言っていいほどの文章で綴られる心理描写が非常に巧み。一歩間違えれば安っぽいメロドラマになりそうな題材だが、中盤から色濃くなる法廷ミステリー要素の完成度、第二部で重点が置かれた”老い”と”死”のテーマの迫真性によって、シンプルながら素晴らしい文学作品であった。設定からして目を引く小説が多いご時世に、ここまで没個性的な素材を使って記憶に残る作品を作り上げたのは驚きだ。二層かと思われたサンドイッチ構造が三層だったときの満足感はこの上ない。2021/10/26

M H

30
放火殺人の陪審員に選ばれた女性には、30歳以上年上の夫がいるが、同じ陪審員の男性に惹かれて…何だかつまらなそうなあらすじなのだけれど、そんなことはない。仄見える機微は後半に進むにつれ、複雑に。主人公のC-2(陪審員の呼称)は矛盾に満ちていてどうしようもなく人間臭い。淡々とくすぶるような書き振りに惹かれる。話は微妙に意外な方向に転がり、情景が鮮やかに浮かびそうなラストも良かった。面白いけどカテゴライズ困難でものすごく宣伝が大変そう。2022/01/30

星落秋風五丈原

19
陪審員として参加した事件を探るミステリというよりはヒロインが読んでいる『ボヴァリー夫人』現代版。2022/08/04

アリーマ

17
乳児を発達障害者の姉が焼き殺した事件を審理するために集まった陪審員たち。結審までは全員同じところで寝泊まりし、寝る時以外はほぼ一緒の団体行動となる。そんな中で惹かれ合う五十代の男女。その関係が思わぬ波紋を呼ぶことになり…という話。基本生臭い中年男女の火遊びとその後に、女の高齢の夫との関わり合いの話が主題。楽しい話ではないが、どこか身につまされる生々しさかあった。殺人事件の真相がどこかで絡んでくるのかと思えば、どうも中途半端で終わったのは惜しいかった。★★★⭐︎2022/02/09

しゅー

5
★★「書評七福神」で紹介されていたのだが、ミステリとして読まないほうが良いと思う。タイトルどおりといえばタイトルどおりな内容だ。作中でも言及される『ボヴァリー夫人』の現代版、といったところを狙ったのだろうか。残念なことに、裁判の対象となる事件は謎解きとして魅力的なんである。そのまま法廷ミステリとして進むのかと思いきや、視点人物である女性は情事にかまけて裁判に集中できていない。事件に関するモヤモヤを残したまま、陪審員としての物語は終了。第二部で意外な展開を見せていく。う〜ん。悪くはないけど期待と違いました。2022/09/24

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