権威主義の誘惑:民主政治の黄昏

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権威主義の誘惑:民主政治の黄昏

  • ISBN:9784560098363

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内容説明

トランプとトランプ主義を可能にしたものは何なのか?

米国のトランプ政権下で進んだ民主政治の衰退と権威主義の台頭、イギリスのジョンソン首相とブレグジット、ポーランドの「法と正義」のカチンスキ、ハンガリーの「フィデス」のオルバーンといった元首の登場、ドイツ・フランス・スペインにおける極右政党の躍進……これらは同じ時代の土壌から生まれたものだと理解できるが、この世界的な現象の根底には何があるのか? 
本書は、『グラーグ:ソ連集中収容所の歴史』で〈ピュリツァー賞〉を受賞した歴史家・ジャーナリストが、かつて交流があった「リベラル派」の人々の変貌ぶりに驚き、何が彼らを変えてしまったのかを起点に論考する、思索的エッセイだ。ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』を現代世界にあてはめて「民主政治の危機の根源」を考察し、「わたしたちはすでに民主政治の黄昏を生きている可能性がある」と警鐘を鳴らす。欧米における「権威主義の誘惑」は、むろん鏡像として、日本の現状を見ることもできる。
本書は『ワシントン・ポスト』『フィナンシャル・タイムズ』の「年間最優秀書籍」に選出された。特別寄稿「日本語版への序文」を掲載する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Satoshi

12
トランプ支持者による議会襲撃事件など世界の右傾化について記載している。著者の旦那さんがポーランドの政府高官であることから、ヨーロッパの事情に詳しい。ヨーロッパ各国でLGBTや移民を排斥するフェイクニュースを根拠とする極端なナショナリズムが発生したことを詳しく記載している。ブリグジットの国民投票の前にボリス・ジョンソンが「ブリグジットなんて非現実的」と主張しながら、保守系の支持者からの賛同を得るために、ブリグジットを主張したとの記載は面白かった。2022/12/27

masabi

12
【概要】2010年代に突如として反民主主義が吹き出したのか、知識人がなぜ協力したのかを探る。【感想】筆者の立場は中道右派。民主主義、既存支配層、システムへの嫌悪など権威主義的志向が知識人層にも広がっていることを指摘する。個々人が権威主義に惹かれる理由は出世を望む野心から左右の終末論的悲観主義まで様々だ。筆者と権威主義に流れたかつての友人達との断絶がそのまま対話不能を示している。対話ができていないので、彼らの内面までは踏み込めていない。2022/09/02

chiro

4
コロナ禍での中国の対策、封じ込めが顕著に効果を表していることから急速に議論され出した権威主義。わが国でも行動抑制を強いることが憲法上不可能であることからコロナ対策に効果を上げられない現実が続いている中で憲法改正を視野に入れた行動規制を可能にする法律の立法化を主張する声が大きくなってきている。これは昨今の民主主義の停滞・破綻論と同じ次元の主張であるが、こうした動きに警鐘を鳴らす著作。コロナ以前からのこうした動きを示しながら提示される課題は示唆に富んでいる。2021/08/27

yes5&3

1
著者の夫はポーランド元外相の欧州議会議員。そのような人脈と豊富な裏付けの上に書かれた、権威主義が進む現代において、フェイクニュースと陰謀説が有効になる仕組み。「自分は優秀で努力をしてきたのに出世しないのは何かの陰謀」第2章。夫妻は、ジョンソン首相と交友関係があり「EU離脱など誰も望んでいない」と言っていたはずが、EUがなければ、を信じる知識層。アメリカの殺戮の黒歴史を伝え続けるハワード・ジン特別な理想の国ではないP146。意見ではなく”事実”が多数存在している!訳者あとがきの読み解きも参考になる。2021/07/11

takao

0
ふむ2025/06/15

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