これだけは知っておきたい 医師の働き方改革実践テキスト

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これだけは知っておきたい 医師の働き方改革実践テキスト

  • 著者名:渡辺徹【編著】
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • ロギカ書房(2021/10発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784909090645

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内容説明

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急速に進展する少子高齢化や人口減少、さらには労働人口の減少等、未曽有の社会的背景から国が推し進める働き方改革には、医療機関に勤務する医師も例外ではありません。昼夜を問わず救急患者の対応はもとより、超高齢化にともない増加する複合疾患やがん患者の治療等、命を最優先にする医療現場では過重労働につながることが少なくありません。
こうした実情を改善するために国の抜本的改革の施策として、医師の時間外労働の上限規制が、2024(令和6)年度から導入されることになりました。これに伴い、すべての医療機関は医師の労働時間短縮に向けた働き方改革を推進しなければなりません。
2020(令和2)年度の診療報酬改定においても、高い救急医療実績がある急性期病院(救急搬送患者数が年間2, 000 件以上の医療機関)には、診療報酬上の評価が新たに設けられたものの、加算の要件として「医師の働き方改革」を推進するための具体的な計画の作成や取組事項の公開が義務付けられることになりました。
2024 年度まで待ったなしの状況であり、厚生労働省では「医師の働き方改革に関する検討会」が取りまとめた報告書に基づいて、より詳細な内容を詰めるために「医師の働き方改革推進に関する検討会」をスタートさせました。さらには、働き方改革を効果的に推進することを目的に「医師等医療機関職員の働き方改革推進本部」を設置する等、万全の体制で臨んでいます。この報告書には、医師の時間外労働の上限規制と健康管理のための具体的な仕組みが示されており、2024 年度までにスピード感をもって、どのように労働時間の短縮に取り組んでいくかが、今後の大きなポイントになると思われます。
一方では、各医療機関の医師の働き方改革を支援し、進捗状況(残業時間削減に向けた取組)の評価の役割を担う『評価機能』の設置が進められています。
医療機関は、患者の命と健康を守るために24 時間、365 日休むことなく稼働しています。医師には、医師法に定める応召義務もあります。こうした厳しい労働環境下に置かれている医師は、とてもハードで複雑な勤務形態を余儀なくされておりますが、現状の医師の働き方を外部の視点から理解するのはかなり難しい一面があります。
本書においては、評価機能の役割を担う社会保険労務士の皆さんはもとより、医療機関の外から医師の働き方改革を支援する役割を担う皆さんを対象に、2040 年の医療提供体制の構築に向けた三位一体改革といわれる「地域医療構想」、「医師の働き方改革」、「医師偏在対策」の3 つの重点政策を中心に理解していただくことを狙いとしています。その上で、特に医師の働き方改革については労務管理上の課題・問題点や、その解決方法等を医療現場で様々な問題解決に取り組んだ経験と実績を活かした「病院勤務の社会保険労務士」の観点からわかりやすくご説明させていただくことに加えて、医師の働き方改革の切り札ともなるタスク・シフト/ シェアについて、医療現場のマネジメント職の視点から解説させていただきます。医師の働き方改革に取り組まれている病院長をはじめ、担当副院長、看護部長、事務部長の皆さんにも大変参考となる有益な情報も数多く盛り込んでおります。
ぜひ、本書を手に取ってご覧いただき「改革」へ導く一助になれば幸いです。

目次

●Chapter1 医療機関を取り巻く環境の変化
1-1 2025 年問題と2040 年問題
1-2 経営が悪化する医療機関
1-3 地域医療構想
1-4 病床機能報告制度
1-5 地域医療構想調整会議
1-6 経済財政運営と改革の基本方針2017
1-7 病床機能転換の遅れ
1-8 経済財政運営と改革の基本方針2019
1-9 病床再編の方向性
●Chapter2 診療報酬で支える医師の働き方改革
2-1 診療報酬改定と働き方改革
2-2 外来医療の機能分化の推進(「定額負担」の徴収範囲拡大)
2-3 病院勤務医負担軽減の推進(地域医療体制確保加算)
2-4 医療従事者の勤務環境改善の取組推進(総合入院体制加算等)
2-5 医師事務作業補助体制加算の評価の充実
●Chapter3 医師不足への対応
3-1 医師の偏在対策
3-2 医師需給の経緯
3-3 医師臨床研修制度の変遷
3-4 令和2 年度の臨床研修制度の見直し
3-5 新専門医制度とは
3-6 新専門医制度の採用数上限設定(シーリング)
●Chapter4 医師の働き方改革実現への仕組みづくり
4-1 時間外労働の上限規制導入
4-2 追加的健康確保措置の義務付け
4-3 「地域医療確保暫定特例水準」の対象医療機関
4-4 「集中的技能向上水準」の対象医療機関
4-5 労働時間短縮に向けた取組
4-6 医療機関をバックアップする仕組み
4-7 追加的健康確保措置の履行確保のための枠組み
4-8 今後の検討課題
●Chapter5 医師から他職種へのタスク・シフティング/タスク・シェアリング
5-1 タスク・シフト/シェアの推進
5-2 チーム医療
5-3 看護師へのタスク・シフト/シェア
5-4 薬剤師へのタスク・シフト/シェア
5-5 臨床検査技師へのタスク・シフト/シェア
●Chapter6 医師の労務管理の考え方
6-1 医師の宿日直許可基準
6-2 「医師の自己研鑽」の労働時間該当性
6-3 複数医療機関に勤務する医師の労働時間の把握と追加的健康確保措置の取扱い
●Chapter7 「医師の労務管理」の課題は何か
7-1 ケーススタディ(医師の宿日直編)
7-2 ケーススタディ(個人医師編)
7-3 ケーススタディ(医師の業務委託編)
7-4 ケーススタディ(新専門医制度を活用した医師の確保)
7-5 ケーススタディ(医師の働き方改革導入編)
7-6 ケーススタディのまとめ(時間外労働の上限規制への対応)
7-7 医師の勤務シフトを考える(参考)
【巻末資料】
〈巻末資料1〉
医師の宿日直許可基準・研鑚に係る労働時間に関する通達
〈巻末資料2〉
医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について