千個の青

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千個の青

  • ISBN:9784152100566

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内容説明

故障のため安楽死の危機に瀕した競走馬“トゥデイ”と、下半身が 壊れたまま廃棄が決まったヒューマノイド騎手“コリー”。社会の 片隅で懸命に生きるさまざまな弱者たちに支援され、もう一度レー スの表舞台に戻ってきた彼らの挑戦が、人々の心に奇跡を起こす!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

59
近未来SFとは言え、描かれるのは主に社会の脆さ、人間の儚さと優しさ。中盤までは核となるロボットがあまり過大に出過ぎていないのがとても良い。こちらも群像劇調で視点が頻繁に変わるのだが、どの人物をとっても繊細で丁寧に書かれていて深味がある。面白い物語なのに単なるエンタメとして消費させない意思の強さが垣間見える作品だ。作者が持っている”こうあるべき”という確固とした世界観を感じ取れる。取り立てて奇抜な設定ではないのに、穏やかで丁寧な筆づかいが魅力的で、いつまでも読んでいたいと思わせる稀有な快作。とても良かった。2021/10/22

あおでん@やさどく管理人

52
表紙の青色のような穏やかな筆致は、登場人物たちのわだかまりを解いていき、静かな感動を生む。同じ時代を生きていても、人によって流れる時の速さは違う。めまぐるしい変化のスピードについていこうと必死な人が増えている一方で、悲しみで時が止まっている人もいる。そんな我々に必要なものこそ、「ゆっくり走る練習」なのだろう。おすすめ。2021/11/25

がらくたどん

43
今年は新年から『風の向こうへ駆け抜けろ』『優駿』と競馬ものづいておりその勢いで韓国作家の近未来競馬ものを。酷使され安楽死予定の競走馬・半壊し廃棄予定のロボット騎手・社会の競争レールから外れざるを得なかったメカオタクの少女と小児麻痺を患うその姉。自我を貫くが寂しがり屋の「級友」の出現である意味平穏に鎮静されていた世界が攪拌され軋みながら動き出す。「わたしたちはみんな、ゆっくり走る練習が必要だ」ゆっくり走る事はルール違反にはならない。その上で全力疾走したい時にはすればよい。走る速度は本来自由だ。大収穫の青春譚2022/01/15

ちゅんさん

43
優しい物語。 コリーの『幸せだけが過去に勝てるんです』がいい。ロボットなのになかなか良いこと言う。私もゆっくり走る練習が必要なようだ。2022/01/10

おたま

41
初めて読むチョン・ソンランの韓国近未来SF。とはいえ、一般的な韓国文学と同じように社会的な関心も強く、メッセージ性もこめられている。競走馬トゥデイとその騎手ヒューマノイド(ロボット)であるコリー、そして小児麻痺のために車椅子に乗る17歳のウネとその妹でロボットの研究に詳しい15歳のヨンジェ。さらに彼らを取り囲む、母ボギョン、ヨンジェの友人ジス、獣医ポッキ等の人々。そうした人々のそれぞれの視点から描き出された、様々に絡まり合う挫折と復活の物語。2023/10/23

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