アポカリプス・ベイビー

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アポカリプス・ベイビー

  • ISBN:9784152100559

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内容説明

『キングコング・セオリー』著者による、シスター・バディ小説。パリの調査会社に勤めるルーシーは、30代半ばになってもぱっとしない自分の生活に嫌気がさしていた。ある日、素行調査をしていた15歳の少女、ヴァランティーヌが行方不明になる。途方に暮れたルーシーは、裏社会で名をはせる凄腕の女性私立探偵、ハイエナに助けを求める。ヴァランティーヌの家族や友人に聞き込みを重ねるうち、少女がバルセロナに向かったことを知る。ルーシーとハイエナの凸凹コンビは一路、車で同地へ。ヴァランティーヌを見つけ出し、任務は完了したかのよに思えた。あの日、あの事件を知らされるまでは……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

58
なんと衝撃的な幕切れか。それまでも疾走感あるハードボイルドと肌理細かな群像劇の合わせ技に舌を巻いていたが、あの結末には全てを吹き飛ばされた。例えて言うならばアルドリッチの『キッスで殺せ!』を初めて観た時の感覚。単なるシスターフッドを描いたミステリー小説ではなく、グロテスクな社会構造と人間模様を浮き彫りにした強烈な作品である。『ヴェルノン・クロニクル』を読んだ時も思ったが、この天才的な作家がこれまであまり日本では紹介されてこなかったのが不思議でならない。目の醒めるような一撃に思わずたじろいでしまった。傑作。2021/10/21

49
登場人物の内面を見せつつ進んでいくストーリー。ノワールやハードボイルドな雰囲気でじっくり読んでいたら、衝撃的なラストが待っていた。2021/11/08

kana

40
久々にジャケ買いした本。重い読後感が良い。35を過ぎ人生諦めモードの調査員ルーシーとアナーキーな魅力溢れるレズビアンの探偵ハイエナが組んで行方不明の少女ヴァランティーヌを探し出し、悲劇的なラストを迎えるまでの物語。ミステリーかと思ったら良い意味で裏切られる、ハードボイルドなフェミニズム小説。硬質な文体に登場人物たちのエゴが息苦しいほど詰まっていて、児童虐待やLGBT、移民問題、貧困格差、テロリズムなどの社会問題が浮き彫りにされている。止めることはいくらでもできたけど、どうしようもなかったとも言える。2021/12/12

星落秋風五丈原

29
翻訳文だけど文体は石田衣良さんに似てるかも。びっくりの結末でした。著者近影がまた雰囲気あるんですよ。2021/11/03

松本直哉

26
お行儀のよいブルジョワ読者の眉を顰めさせる放送禁止用語連発の挑発的な文体は、その不穏な伏線の末の禍々しい黙示録的結末を考えれば必然的だっただろう。放棄と虐待と無関心のなかに取り残される十五歳の少女と、その孤独の奥の秘密を見抜いてただひとり最後まで彼女を気遣い、その暴走を止めようとする男勝りの探偵の間のぎりぎりのやりとりが圧巻。尼僧の衣を被ったエリザベスが曲者で、結果から見ればヴァランティーヌは彼女に利用されただけなのかもしれないが、かといってほかにどのような選択肢がヴァランティーヌに残されていただろう。2022/03/06

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