内容説明
知らないうちに多大な被害を受け、攻撃国に大きな利益をもたらす「サイバー戦」の根本思想と実践法とは?
大国ロシアをベースに「サイバー戦」の全貌を元在ロシア防衛駐在官がひもとく!
2014年のウクライナ危機で、ロシアはわずかな抵抗を受けたのみで、簡単にクリミア半島を併合してしまったことを覚えているだろうか? 「サイバー戦」の例のひとつである。
2007年にロシアによるエストニアへの大規模なサイバー攻撃事案が起き、2008年にはグルジア紛争が生起するなどの情勢を受け、日露防衛当局間の関係は厳しい状態を迎えることとなった。必然的にロシアとの安全保障問題の最前線で勤務していた筆者にとっては、これらの問題でのロシアの真意がどこにあるのかとの疑問が生じ、ロシア研究を本格的に実施するきっかけとなった。そして、本書執筆に至ったということである。本書では、情報空間(サイバー空間)におけるロシアの安全保障問題(とくにサイバー戦)について、西側の標準的な考え方や慣習に左右されず、ロシアの為政者がどのように考えているのかに軸足を置き考察してきた。……あとがきより
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sakadonohito
9
ロシアのサイバー空間における取り組みについて書かれた本。読み始めて、分野的にそれほど興味が無かったせいか全然頭に入ってこなかった。内容は結構詳しく書かれていると思う。一般人がロシアの軍事領域について知るなら、小泉悠氏の書籍を読むのが無難だと改めて感じた。2023/12/27
くらーく
3
雑誌「治安フォーラム」なんて言うのがあるんだねえ。そこに掲載されたものをまとめた本書。副題の方が書名だとおもうけどなあ。あくまでロシアのサイバー戦ですね。しかし、細かいと言うかなんと言うか。確かにロシア(中国、北朝鮮も)は国を挙げて情報戦体制を取っています。欧米もやってはいますが、基本的にはパッシブだけなのに、アクティブなサイバー戦を行っていますものねえ。 日本は、専守防衛なのだから、もっとサイバー戦にリソースを割いておいて良いと思うけどなあ。まあ、見えないところ知らないところで暗闘しているのだろうけど。2022/04/16
ふら〜
1
ロシアのサイバー戦に対する考え方、安全保障観を学べる。ハイブリッド戦についてもその通り。戦時にサイバー戦をしかけるという考えではなく平時から情報戦を仕掛けるという視点。まあ今2023年時点では有事ではあるが。2023/01/21
しお
1
ロシアのウクライナ侵攻で取り上げられるハイブリッド戦の考え方を解説する書籍。戦車や戦闘機を使った物理的な戦いと情報やデジタル空間などで行われる戦いの組み合わせは、中国将校が述べる「超限戦」の考え方に似ている。サイバー攻撃は手段の1つであって、その目的を考察するために大変役に立つ1冊。筆者の目を通して伝えられるロシアの国家観は力(Force)にあるという概念は、とても興味を持って捉えることができた。2022/03/19