内容説明
二十歳の君たちはどう生きるか
サイエンスからフランス文学、生と死、世界史――縦横無尽に森羅万象を解きほぐす。若者達に向けた「知の巨人」のラストメッセージ。
目次
はじめに
第一章[序]
知の巨人、振り返る
死へ向かう身体
リアリティの皮相
疑わしきに囲まれて
脳内コペルニクス的転回
第二章[死]
「死ぬのは怖くないですか?」
泥酔パルシー
歩くタンパク質、走る電気信号
第三章[顧]
二十歳の全能感と無能感
私は船尾に、君たちは船首に
一九六〇年の二十歳、橘隆志
問題の問題
割と短いトンネルの向こうは、誰も知らない世界でした
筆を執るにも千冊の途
事実は小説よりも奇なり
紙書籍よ、さらば?
第四章[進]
複雑さの収束点
種の起源
私より賢いスパコンが読み解けない私の頭脳
第五章[考]
作ってみないと分からない
明らかに明らかでない世界
「考えること」について考えてみると
“分かる人”になるために
私たちの十年、立花隆の十年
第六章[疑]
ポスト・コールドウォー・キッズ
“平和ボケ”の治し方
リアルな歴史の傍らに
いっそゼロから
世界情勢は複雑怪奇
真相は深層に
不確かな時の波に揺られて
あとがきにかえて 立花隆さんへの手紙
*本書は、『二十歳の君へ 16のインタビューと立花隆の特別講義』(2011年、文藝春秋刊)から「第二章 二十歳、頭をひねる《立花隆の特別講義》」を再編集しました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
110
70歳の立花さんが20歳の若者に思いを託して語っている。齢をとると結論を急ぎたくなる。「デカルトの時代は終わった」という意味を、デカルト的懐疑すら突き詰めたことのない学生が正しく理解できるのだろうか。「歴史には法則性があるという人は間違っている」も危ない。でも、誤解を恐れずに若者たちに思いを伝える姿勢は立派だ。流されやすい時代だからこそ「職業的懐疑の精神」を叩き込みたいのだろう。各章末にある「注」が攻めた内容で面白いと思っていたら、巻末に、当時の東大ゼミ生が作成したとの説明。学生たち、なかなかやるじゃん!2021/12/06
ヒデミン@もも
44
難しいことばかりだった。【注】説明されていることで時代を感じる。自分ごとだけど長く生きてるだけで、賢い人より知っていることもあるものだと思ったが、その知識は浅かった。立花さんのように何事もこれだけ深く追求する作家はもう出てこないと思う。2023/02/02
ころこ
34
文理融合を目指していた著者がその仕事を止め、東大の講義と東大と国家の関係に関心が移ったのは、単に死を意識する年齢になったからだけではなく、関係分野からの「立花批判」や雑誌メディアの取材費、原稿料の削減があり、従来の執筆体制が維持できなかったからでしょう。ここに著者の挫折があったことは重要だと思います。そこから転身して東大生に知全体の相貌を伝えることになったことは、著者の知的好奇心を満たす仕事ではなかったものの、そこまで各分野に知識の無い読者に広く浅く伝えることになりました。2021/11/12
みき
31
人の人生に大きな影響を与える本なんて数少ないでしょうが、本書はそういう1冊になりえる本だと思う。正直、自分も20年前に読んでいたら……と思わざるを得ない箇所が何箇所もありました。大学生くらいのお子様がいる方は是非、お子様に買ってあげて欲しい。そんな1冊。内容は歴史から哲学、科学までを幅広く網羅。ティーンエイジ特有の悩みに対して「歳をとるのも悪くない」と理論的に説明くださります。これは何回も読むわ2021/12/05
yutaro sata
28
知っている領野に走る、知らない道の数々を教えてもらった感じ。様々な方向へ、新しい興味でもって進める。私はエリオットやマラルメを模写したいと思うし、地政学を学んでみたいと思った。2022/09/30