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内容説明
こぶとり、桃太郎、天邪鬼……「鬼むかし」とは鬼が登場する昔話のこと。その原型は死霊と祖霊がイメージ化されたもので、死霊は人間を食べる恐怖を与える鬼に、祖霊は恐怖と共に慈しみを持つ鬼となった。これに仏教の羅刹鬼や地獄の鬼なども加わり、修験道の山伏や天狗とも結びついて様々な「鬼むかし」ができあがったのである。仏教民俗学の泰斗が、綿密な現地調査と知見を活かし、昔話の根底に潜む宗教的背景を読み解く。解説 小松和彦。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさ
28
図書館で偶然手にした1冊。「鬼」もいろいろ。原形は死霊や祖霊が形となったものだけど、そこに宗教的なものが混ざり伝承されていく。ムラの家々で語られ、昔話に。こぶとりじいさんに登場する鬼も桃太郎に出てくる鬼も、畏れる存在であることに変わりはない。「鬼は外ー」でいいのかな。もうすぐ節分。2022/01/22
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
9
昔ばなしで「鬼」を起点に考察された本。確かに「鬼」は多く登場しますよね。 『 鬼むかし / 鬼一口 / 安達ケ原の鬼婆 / 天邪鬼と瓜子姫 / 牛方山姥と鯖大師 / 「食わず女房」と女の家 / 山姥と鉄鎖 / 「鬼の子小綱」の原点 / 「地獄白米」(「地蔵浄土」「鬼の浄土」)と地蔵縁起 / 瘤取り鬼と山伏の延年 / 「桃太郎」の鬼ケ島渡り 』2024/05/17
ハルト
8
読了:◎ 鬼のいる昔話「鬼むかし」。日本古来から伝わる昔話に、なぜ鬼が登場しているのかを宗教民俗学的に読み解く。著者のいう「鬼」とは、「祖霊」「死霊」のことである。それらが修験道や山伏と繋がり、昔話の「鬼」となる。▼「現在伝承されている昔話のファクターやモチーフの中で、何が本来のものであり、何が後からの変化または付加であることを考証することが、型の分類にもっも必要なこと」とあるように、それにより鬼の昔話を分類している。さまざまな鬼の類型(「桃太郎」「こぶとり爺さん」「鬼一口」等)が知れて、興味深かった。2021/12/09
kenitirokikuti
6
つまみ読み。原本は1984年刊行。元は茶道雑誌の連載。爺婆は孫に昔話することはなく、孫もテレビや絵本などで知っている。昔話の語り手は爺婆ではなく、幼稚園保育園の保母や、テレビのプロデューサー、と。執筆時期、おれが幼稚園児の頃だなぁ…。昔話の語り手にプロデューサーと書いてるのは、『まんが日本昔話』のことだと気づいた。のち、裏番組のセーラームーンが視聴率逆転したという流れだったはず2021/11/29
SOLVEIG
2
読書のための読書。「《鬼》とは?」については普段から読んでる作品で色々な考えに触れているので、その中の一つとして面白く読んだというところかな。《鬼》自体のことよりも、瘤とか隣の爺さん等々、昔話に出てくる《鬼》以外の要素についての見方にけっこう興味をひかれたところも。2023/12/19