内容説明
【とことん迷うための倫理のレッスン】
セカイの真実や、人生の目的なんて、哲学は教えてくれない。
けれども先人たちの苦悩と葛藤と情念をはらんで、こんなにも熱く脈打つのだ。
縦横無尽の思索が<私>と世界を繋ぐ、媒介の倫理学。
ラッシュアワーの満員電車にはスピノザが現れ、
強いタバコの香りとガムラン音楽の思い出は荻生徂徠の声を呼ぶ。
世間論は『カラマーゾフの兄弟』の土の香りと交じり合い、
『エヴァンゲリオン』はグノーシス主義の末裔としての資質を覗かせ、
新海誠作品「君の名は。」「天気の子」は、セカイ系の未来を教えてくれる。
時代や地域、学問領域を超えて、
セカイや人生のあらゆる一瞬を哲学的にひもとく、
縦横無尽の思索の書。
「私は自分の理解できなかった恐怖と戦慄と絶望を感じた。私は哲学に向いていなかった、哲学を学び始めるべきではなかったと本当に何度も思った。しかし、『地獄は一定すみかぞかし』と親鸞は述べた。私は分からなさの中に永遠にとどまるしかないのである。それが哲学の本質ではないのか。(本文より)」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
20
『エヴァ』や『天気の子』に言及しつつ、しかし著者の手付きはそんなポップカルチャーの軽やかさとは裏腹に、どこかドン臭い。私の理解が及ばなかったところもあるので誤読を開陳することになるが、著者はスピノザや西田幾多郎を紹介しつつ「わからないまま考える」哲学の作法をそのまま「実践」したのではないだろうか。私たちがこの本から学ぶべきは従ってわかりやすい哲学の絵解きではなく、「著者に倣って」それぞれの考えを深めていくことなのだと思う。ただ、人生訓というかこの不可解な「セカイ」をどう生きるかという問題提起はアクチュアル2021/12/01
K.H.
7
哲学的エッセイ集。哲学ではスピノザとスコラ哲学とベンヤミンなんかが扱われ、途中から軸になるのがエヴァンゲリオンと新海誠のセカイ系。読み始めたときには、アニメの話になるとは予想していなかった。で、セカイ系に対する著者の態度はどうも煮え切らないと言うか愛憎半ばすると言うか、未決のまま。ドゥンス・スコトゥスから「天気の子」につながる回路はすごすぎる。その他の点でも論旨(というものを期待するのはこちらの悪い癖なのだろう)はあっち行ったりこっち行ったり。なるほど、これがわからないまま考えるということか。2022/03/29
ぎじぇるも
4
哲学者山内志朗による哲学的省察に溢れたエッセイ集で、自身の出生地やこの世界たとえば土や風土についての考察。天気の子やエヴァなどセカイ系アニメへの批評をまぜた考察とそれを人生論に絡めたりなど刺激的な本だった。正直難しいのだが、終章がおもしろかった。「自分の夢を実現する事で、死を手に掴むのだ。ある特定の事柄が人生の夢として機能するのは実現していない限りのうちだけであって、実現した途端ガラクタになってしまう。ーー人生は夢だらけでなければならない。ー固定的に存在しない限りにおいて夢や目的は存在する。」から始まる、2023/09/03
Go Extreme
2
安易な答えを求めない 哲学的な思考 曖昧さや不確実性を許容する 内在原因 実体と様態 セカイ系倫理学 個人と世界が直結する構造 中間的な共同体の世界 土の両義性 汚れと豊穣の源 カラマーゾフ的なもの 世界に無駄なものは何一つない 闇を見る視力 闇に満ちた倫理学 言葉で伝わらないことを伝える力 音楽と礼楽 ライプニッツの予定調和 宇宙の秩序と音楽的な調和 異常気象の倫理的意味 トレードオフと犠牲 等価交換が成立しない世界 過去と未来の絆 生と死の間の媒介領域 秘密や内面性2025/04/15
takao
2
善の研究 音読すべし エチカ スピノザ 岩波文庫 まったく理解できない。 意味の倫理学 Doルーズ 河で文庫 理解できない事柄の連続 2022/12/29
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