内容説明
現存する最古の和歌集である『万葉集』。
令和の元号に採用されたことをきっかけに、その魅力が改めて見直され、親しむ人が増えています。
花鳥風月を詠んだ歌が豊富なのは知られることですが、『万葉集』には、はっきりわかっているだけでも、約30種の鳥を題材にした歌が詠まれています。
愛らしい鳥の姿や、その鳴き声に、愛しい人の姿や心情を重ねたり。季節の移り変わりや身近な出来事をつづったり。
本書では、そんな『万葉集』で詠まれた40種の野鳥について、その品種ごとに和歌の愉しみ方を読み解きます。
万葉集で登場する鳥を解説しながら、その周辺の和歌についてもあわせて紹介。
またそれぞれの項の末尾には、「鳥しるべ」として、現在のバードウォッチングにも活用できる様々な情報も加えました。
自然豊かな地域はもちろんですが、都会暮らしであっても、思いのほか様々な野鳥を目にすることができるものです。
古えの歌人に思いをはせ、愛らしい鳥の世界に親しんではいかがでしょうか。
目次
春 うぐいす/ひばり/つばめ/きじ/やまどり
夏 ほととぎす/ぬえ/う/いかるが/けり/しらさぎ
秋 かり/うずら/あとり/もず/しぎ
冬 たづ/かも/たかべ/あじ/おしどり/あきさ/ちどり/かまめ/みやこどり/にお/わし/たか
◎無季の鳥 みさご/からす
◎春の季語にもなっている謎の鳥 よぶこどり/かおどり
◎その他の謎の鳥 ひめ/まとり/すがとり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
loanmeadime
16
散歩していて、あれは何だ?と思うことがよくあります。万葉集に出て来る、ということは家の周りでも見ることがあるかもしれないと、野鳥の会のページや、youtubeやら見ながら楽しみました。何十年も前に何かの実に群がっていたのを京都で見たことがあるイカルは斑鳩という地名があるくらいなので、何時か見れるかも。名は体を表す、と勝手に思っていた鳬(けり)の字は元々別の意味と知って少しショック・・・などなど色々と学べました。雀はやっぱり害鳥枠なんですかね、この本には登場しませんでした。2022/04/07
PAO
13
「私たちが受け継いできた大切な架け橋を、いつまでも送り継いでいくためにも、まずは、歌人たちがどのように鳥を見つめてきたか、たどってみませんか」…(6頁)2022/02/17
セヱマ
5
まさに花鳥風月!和歌に興味なかったけど、鳥好きから和歌に興味を持てた。 万葉の時代の人と同じ鳥を今も見ることができる、というのが、当たり前であり続けられる世界を保たねばと思えた。 呼び名は変わっても、鳥の姿は変わらない。いくら科学技術が進歩しても、人間の形も心も千数百年前と変わらない。万葉の人々を身近に感じられた。素敵な本だ!2022/02/16